ずい道内作業従事者が受けるべき特別教育についてご紹介します。

前回は、トンネルの歴史について少し詳しくお伝えしました。いかがだったでしょうか。今回は、トンネル掘削作業について、必要な資格などについてご説明していきます。

 

ずい道内作業者

前回も少し触れましたが、トンネル内での作業には様々な危険がつきまといます。さらにトンネルといっても様々な種類があります。現在造られるトンネルとしては、山を掘って道をつなぐ道路トンネルやダムのグラウンドトンネルなどがありますが、海底トンネルなどもあります。特に、地上のトンネルでの作業では、重機による事故・崩壊・落盤・ガス爆発などの事故の危険が予想されます。一方で海底トンネルなどは、地上のトンネルとは掘削方法も違いますし、環境も異なることから予想だにしない事故が起きる可能性があります。実際、2012年には岡山県倉敷市の石油精製工場で、海底トンネルの施工中に海水が流れ込む事故が起き、作業員5名が死亡しています。

このように、トンネル内作業では命に関わる事故が起きる可能性があるとして、トンネル内の作業に従事する労働者に特別な資格の修了を義務付けるという措置をとっています。これが、ずい道内作業者と呼ばれる資格です。

 

ずい道内作業者特別教育の内容

ずい道内作業者特別教育の内容について確認していきます。

 

<学科>

・掘削、覆工等に関する知識(1.5時間)

・工事用設備に関する知識(1.5時間)

・労働災害の防止に関する知識(3時間)

・関係法令(1時間)

 

学科7時間で実技なしの講習になっています。これが、トンネル内の作業に従事する者が受けるべき基本的な特別教育になります。ただ、これだけでは作業に従事できない場合があります。合わせて受講が必要となる可能性の高いものについてもご紹介しておきます。

○酸素欠乏危険作業特別教育

トンネル工事では、閉塞空間で作業する際に「酸素欠乏症」という健康被害を引き起こす危険があります。また、これと共に有毒な硫化水素ガスなどの発生も見込まれます。こうした目に見えない危険に対する予防と安全対策のためにも、酸素欠乏危険作業特別教育を受ける必要があります。こちらの特別教育については以下の記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてください。

 

○粉じん作業特別教育

最近は、トンネル工事における「じん肺」被害の数は減少傾向にありますが、粉じん自体の発生量は変わらなかったり、技術や機械の進化によって以前よりも量が増していたりしています。このため、作業者は粉じんに対する対策を講じる必要があります。このため、粉じん作業特別教育を受講する必要があります。これについても、以下の記事でご紹介していますので参考にしてください。

粉じん作業は危険がいっぱい!作業従事のための資格について紹介

トンネル作業に関する他の資格

さて、以上が一般的な作業従事者が受けるべき特別教育の内容でした。さらに、トンネル内作業においては、労働安全衛生法によって作業主任者の設置が定められています。この作業主任者の資格は、技能講習の受講と修了試験の合格によって取得できますが、トンネル作業の場合2つの講習に分かれているということがポイントになります。

また、今回は詳しく触れませんが、トンネル内では火薬を扱う業務が発生することも多くあります。この作業に従事する際には、発破技士などの火薬を扱う特別な資格の取得も必要となります。

酸素欠乏危険作業に従事するには特別教育の受講が必要です!

ずい道などの掘削作業主任者

ずい道などの掘削作業主任者は、掘削作業の他にずり積みや落盤、はだ落ちを防止するための支保工の組立て、ロックボルトの取付け、コンクリートなどの吹き付けなどの作業に対して、従事者の監督や安全指導を行ないます。

 

こちらの技能講習の受講資格は以下のようになっています。

・ずい道等の掘削作業に3年以上従事した者。

・大学や高等専門学校、高校の土木・建築・農業土木または採鉱に関する学科を卒業後、2年以上の実務経験者。

・職能訓練終了後、実務経験が2年以上の者。

 

講習内容は以下の通りです。

 

<学科>

・作業の方法に関する知識(6時間)

・作業者に対する教育等に関する知識(1.5時間)

・工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(4時間)

・関係法令(1.5時間)

・修了試験

 

学科13時間の後、修了試験に合格することで資格を取得することができます。

 

ずい道などの覆工作業主任者

こちらが2つ目の作業主任者としての資格です。この主任者は、ずい道等におけるアーチコンクリート及び側壁コンクリートの打設に用いる型枠や、支柱、仮設の設備などの移動や組み立て、解体などを行なう際に従事者の監督、安全指導を行ないます。

 

こちらの技能講習の受講資格は以下のようになっています。

・ずい道等の覆工作業に3年以上従事した者。

・大学や高等専門学校、高校の土木・建築・農業土木または採鉱に関する学科を卒業後、2年以上の実務経験者。

・職能訓練終了後、実務経験が2年以上の者。

 

講習内容は以下の通りです。

 

<学科>

・作業の方法に関する知識(6時間)

・作業者に対する教育等に関する知識(1.5時間)

・工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(4時間)

・関係法令(1.5時間)

・修了試験

 

学科13時間の後、修了試験に合格することで資格を取得することができます。

 

まとめ

2回に渡り、トンネル内作業と必要な資格についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。この他にもトンネル作業に関する資格がまだあるのですが、それはまた別の機会にご紹介していきます。

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