安全に丸ノコを使うために受けるべき「携帯用丸ノコ盤安全衛生教育」とは
前回は、丸ノコについてと安全衛生教育についての詳細をお伝えしました。今回は、携帯用丸ノコ盤安全衛生教育の内容についてと、さらに丸ノコ取扱い作業主任者の選定についてご説明していきます。
携帯用丸ノコ盤安全衛生教育
目次
まずは、丸ノコを取扱うにあたって、基本的な知識と操作について学ぶ必要があります。これが安全衛生教育です。それでは、内容を確認していきましょう。
<学科>
・携帯用丸のこ盤に関する知識(0.5時間)
・携帯用丸のこ盤を使用する作業に関する知識(1.5時間)
・安全な作業方法に関する知識(0.5時間)
・携帯用丸のこ盤の点検及び整備に関する知識(0.5時間)
・関係法令(0.5時間)
<実技>
携帯用丸のこ盤の正しい取扱い方法(0.5時間)
学科3.5時間、実技0.5時間、合計4時間の比較的少ない時間での講習となります。こちらの講習単独では、8500~10000円程度の費用で受講することが可能です。
さて、実は丸ノコの取扱いに関しての講習はこれだけではありません。丸ノコは振動工具に分類されます。振動工具の取扱いは気を付けなければ、作業者が振動病や振動症候群と呼ばれる健康被害を受けるリスクが高まります。このため、振動工具の取扱いに関する知識についても学ばなければならないのです。それでは、それについても確認していきましょう。
振動工具取扱作業者安全衛生教育の内容
<学科>
・振動工具に関する知識(1時間)
・振動障害及びその予防に関する知識(2.5時間)
・関係法令等(0.5時間)
実技なしで、学科4時間程度の軽めの講習になります。チェーンソーは単独での講習があるため、本講習の受講は必要ありません。これに対して丸ノコを含めて他の振動工具は、使用する作業に従事するためにはこちらの講習を受けなければなりません。ちなみに、丸ノコ以外の工具には
削岩機、コンクリートブレーカ、ビッグハンマー、チッピングハンバー、刈払機、タイタンバー、タンピングランマ―、インパクトレンチ、エアドライバー、グラインダー、振動ドリル、バイブレーションシャ―、ジグソー
たかが振動と思うかもしれませんが、長時間激しい振動に曝されていると重大な健康被害をこうむる恐れがあります。例えば、手の血行が悪くなることで指先が真っ白に変色する「白ろう病」になると、手にしびれや痛みが生じる場合があります。根治できる治療法はないため、マッサージや温熱治療で症状を緩和する程度に留まり、生涯この症状と付き合っていくことを強いられる可能性が出てきます。そうならないように、振動障害に対しては予防の知識が必要なのです。
木材加工用機械作業主任者の選任
少し話がそれました。丸ノコに戻りましょう。木材加工用機械を5台以上を有する事業場においては、労働災害を防止する目的で木材加工用機械作業主任者の配置が義務付けられています。この機械のうち自動送材車式帯のこ盤が含まれる場合は、台数が3台以上で主任者を選任する必要が生じます。これは、労働安全衛生法に定められた国家資格の一つにあたり、木材加工用機械作業主任者技能講習を修了した者の中から選任されることになっています。木材加工用機械の中には、今回お伝えしてきた丸ノコも含まれます。この他に、帯ノコ盤・かんな盤・面取り盤及びルーターに限り、携帯用を除く、これらが含まれます。
主任者の仕事としては、木材加機械を取扱う作業においての指揮や安全装置の点検、機械や工具の使用状況の管理などです。当然のことながら、これらの作業に従事する労働者の健康と安全を守る立場で、非常に責任のある仕事となります。
この主任者になるための講習を受けるには、資格が必要です。
・満18歳以上であること。
・木材加工用機械による作業に3年以上従事した経験を有する者。
・その他厚生労働大臣が定める者。
要するに、木材加工用機械を扱う作業に従事したことがある経験者を対象とするわけです。
木材加工用機械作業主任者技能講習の内容
<学科>
・作業に係る機械、その安全装置等の種類、構造及び機能に関する知識(6時間)
・作業に係る機械、その安全装置等の保守点検に関する知識(2時間)
・作業の方法に関する知識(5時間)
・関係法令(2時間)
・修了試験
学科15時間の受講後、修了試験が課されます。この修了試験に合格した者のみが、作業主任者に選任される資格を持つことになります。費用は、11000~15000円程度となっています。受講内容をしっかり把握していれば、試験に手こずることもありません。また、既に所持している資格などによっては、一部受講科目が免除される場合がありますのでしっかり調べるようにしましょう。
まとめ
特に、木材加工用機械作業主任者についても触れたため、丸ノコ=木材の切断というイメージが強くなってしまったかもしれませんが、丸ノコ自体は前回ご紹介した通り、金属やプラスチックの切断にも大いに利用します。ですから、木材を扱うような建設業や林業などだけでなく、電気工事や水道管工事などでも使用しますので、広く習得が必要な資格になっています。合わせて、取得が必要な振動工具に関する教育についてもお伝えしました。取得漏れがないか、今一度確認しておきましょう。