4月から新規開設!施工管理技士補ってどんな資格?
2020年10月に施行された、「改正建設業法」については皆さんご存じかと思います。改正の内容は様々で、既に施行されているものがほとんどですが、その中でこれから施行されるものがまだ残っていますね。今回は、2021年4月1日に施行される技術検定の見直しについて詳しくご紹介していこうと思います!
改正建設業法ってなに?
目次
本題に入る前に、改正建設業法について軽くおさらいしておきましょう。必要ない!という人は読み飛ばしてくださいね。
まず、建設業法についてです。これは、元々1949年に制定された法律です。この法律の目的は、建設業に関わる人々の資質向上や健全な発展であり、さらにそういった人たちの権利を守ることです。時代の移り変わりと共に、この法律の内容は適宜改正されてきましたが、2020年10月にも一部改正がされたのです。それが、今回ご紹介する「改正建設業法」ということになります。
どんな改正が行われたの?
さて、2020年10月に施行された改正建設業法では、どんなことが改正されたのでしょうか?
まず、改正の目的として3つのことが挙げられます。
<改正建設業法の目的>
・建設業における働き方改革の推進
・建設業における生産性の向上
・建設業における持続可能な事業環境の推進と確保
以前、建設業における働き方改革についての記事を挙げていますが、その中でも実は改正建設業法に触れていました。建設業に従事する労働者は高齢化が進み、若い担い手の人材不足が深刻化しています。しかし、労働環境が大幅に改善されることが少なく、厳しい状況のままであることは確かです。そこで、国をあげて建設業の働き方改革を進めると共に、年齢層や性別に囚われずに持続できる建設業の環境を作っていこうということで、今回の改正を行っています。今後の、建設業の未来を見据えた改正法ということですね。
<改正の内容>
それでは、具体的にどんな改正があったのかをご紹介しましょう。
「建設業における働き方改革の推進」
34条…中央建設審議会が後期の基準を作成するルールを新設
19条…請負契約の書面の記載事項に「工期を施工しない日・時間帯」の定めを追加する
19条の5…著しく短い工期による請負契約の締結禁止
20条…工程の細目を明らかにして見積もりを行う努力義務を課す
20条の2…工期に影響を及ぼす事項について、事前の情報提供義務を課す
24条の3…下請け代金のうち「労務費相当分」を現金払いとする義務を課す
「建設業における生産性の向上」
26条、26条の3…工事現場の技術者のルールを合理化
41条の2…認可行政庁が建設資材製造業者に対して改善勧告や命令ができるようになる
「建設業における持続可能な事業環境の推進と確保」
7条…許可要件から「5年以上の経験者」を除外
経営業務管理責任者に関するルールを合理化
17条の2、3…合併・事業譲渡等に際して、事前認可手続きを新設
円滑に事業承継できる仕組みを構築
「それ以外」
24条の5…下請けが元請けの違法行為を密告したときに、元請けが下請けを不利益に取り扱うことを禁止
25条の27…建設業者に建設工事に必要な知識・技術の向上の努力義務を課す
27条の40…建設業者に災害時における公共団体などと連携する努力義務を課す
40条…工事現場における下請けの建設業許可証刑事義務を緩和する
これらの改正は、2019年9月1日と2020年10月1日に、既に施行されているものです。さらに、法律の改正に伴って行われるのが今回の本題である「技術検定の見直し等」になります。
「技術検定の見直し等」は2021年4月1日から!
今回の検定制度の見直しとは、以下のようになっています。
画像出典:国土交通省「技術検定制度の見直し」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001378852.pdf
どういうことかというと、今までは学科試験と実技試験の両方に合格して初めて「技士」という資格を得ることができていました。学科が受からなければ実技は受けられませんし、実技が不合格なら再度受検するという形でしたね。しかし、2021年4月1日からは、学科・実技という形ではなく、第一次・第二次という形に試験が再編成され、なおかつ第一次検定の合格者を「技士補」とし、第一次・第二次検定ともに合格した者を「技士」とすることになったのです。
さらに、実務経験についても見直しがされています。これまでは、2級の試験に合格しても、1級の試験を受けるためには既定の実務経験が必要となっていました。例えば、2級は実務経験なしで受けられるということもあって、業務に関わった1年目に受けたとします。その後、1級は実務経験が7年必要という場合、この期間は受検することができませんでした。しかし、今回の改正から2級合格後、「1級の第一次検定」を受けることができるという形になります。ただし、第二次検定は既定の実務経験を経てからの受検となります。
技士補は何ができるの?
気になるのは、「技士補」にどんなことができるのかということではないでしょうか?
これまでは、技士の資格を持っている者に限り監理技術者や主任技術者といった立場に就くことができるというシステムでした。さらに、このうち監理技術者においては工事現場ごとに専任で配置するという決まりがあったため、兼任することができなかったのです。つまり、人手不足が深刻な建設業現場では、監理技術者がもっと欲しい!状況だったというわけです。この問題を解消することができるのが技士補です。技士補は、ある要件を満たすことで管理技術者の補佐ができるようになるのです。これによって、管理技術者の負担が少し減りますよね。このため、監理技術者は「特例監理技術者」として条件を満たした2つの現場を兼任することができる、という新たなルールが設けられます。
つまり、技術検定の見直しによって、不足していた技術者を補うことができるようになるのです。
試験はどうなるの?
さらに気になるのは、これまでの試験とこれからの試験がどのように変わるかということですよね。残念ながら現時点では、具体的に変更点をお伝えすることはできません。恐らく、内容が大幅に改変されるということはなく、これまでの学科試験が第一次検定へ、実技試験が第二次検定へと名前を変えるというイメージだと予想されます。しかし、今後どのように試験内容が変わっていくのか、情報収集をしっかりしていきたいところですね。
まとめ
2021年4月1日から、技術検定制度の見直しが行われます。これまでの制度とは少し変わり、技術者に関する部分が変わってきますので、関係する人たちはもちろんしっかり押さえておきたいところです。同時に、これから技術者を目指そうと考えている人たちも、これからの技術者の在り方をしっかりと見ておきたいところですね!