製缶工ってなに?知られざる職人の仕事!

製缶工

みなさんは、製缶工という仕事があるのをご存じでしょうか?溶接や機械加工の技術を駆使して、製缶を行う職人について、今回はご紹介していこうと思います。

 

製缶工とはどんな仕事?

言葉だけを聞くと、缶を作るというようなイメージを持ちますよね。ジュースなどが入った缶やドラム缶などを想像しますが、実態はそうではありません。製缶というのは、鉄やステンレスなどの鋼板を加工し、成形するしごとなのです!缶と言っていますが、成形する物の形状や大きさは様々です。例えば、タンクやダクトなどを成形していきます。

製缶工は、様々な技術を駆使して製缶を行っていきます。溶接だけでなく、溶断、原寸展開、曲げ、穴あけなど、鋼板に対するあらゆる加工技術を要するのです。このため、製缶工は非常に多岐に渡る技術資格を持っている場合が多いのです。設計図は設計担当によって上がってきますが、それを読み解いて実寸展開するのがかなり重要な仕事となります。

 

製缶工として働くには

基本的に、製缶工としてスタートするために必要な資格はありません。製缶工を募集している製作所や会社などに就職してから、資格を取るパターンが多いです。一方で募集の段階で必要な資格を提示している会社もあります。先ほども申し上げましたが、製缶工は多岐に渡る技術が必要となりますので、その資格の数も他の職種よりも多いでしょう。以下に、関係する資格をあげていきます。

 

・ガス溶接作業主任者

・アーク溶接作業者

・アルミニウム溶接技能者

・ステンレス鋼溶接技能者

 

これだけでもたくさんの資格と感じますが、関連する資格はまだまだたくさんあります。

鉄工技能士

「製缶工」という資格はありませんが、関連する資格として「鉄工技能士」があります。鉄工技能士は、

 

・製缶作業

・構造物鉄工作業

・曲げ成形、矯正作業

・構造物原図作業

 

という4種類の資格に分かれています。

主に、金属加工の技術について証明する国家資格になっており、学科試験と実技試験の両方に合格して取得することができます。この資格を持っていると、指定の業種での専任技術者になることができます。

 

<試験内容>

ここでは、鉄工技能士の「製缶作業」の分野での試験内容をご紹介します。

 

1級

展開図作成作業:薄鋼板に簡単な立体の展開図を描く。試験時間=1時間

製品製作作業:ハンマ、ゲージ、曲げ台等を使用して、平鋼〔SS330又はSS400相当、6mm×32mm×800mm〕をリング状(円形)に加工したものと、鋼板〔SS400相当、6mm×320mm×320mm〕をガス切断したものとを組立図により組み立て、仮付け溶接を行う。試験時間=1時間45分

 

2級

展開図作成作業:薄鋼板に簡単な立体の展開図を描く。試験時間=1時間

製品製作作業:ハンマ、ゲージ、曲げ台等を使用して、平鋼〔SS330又はSS400相当、6mm×38mm×815mm〕をリング状(円形)に加工する。

溶接作業:簡単なすみ肉溶接を行う。試験時間=1時間25分 [2及び3の合計時間]

 

こちらの試験を受けるには、以下の資格を保有する証明が必要となります。

 

・1級・・・ガス溶接作業主任免許又はガス溶接技能講習修了証など

・1級、2級・・・アーク溶接などの特別教育の修了証明書など

 

昔の製缶工と現在の製缶工のちがい

昔は、タンクを一つ作るにしても、

 

①設計

②板取り

③切断

④成型、加工

⑤溶接

⑥組み立て

⑦検査

 

という工程を製缶工が全て行っていました。このため、非常に多くの知識と技術を要する仕事だったのです。現在ではこれが分業化されており、製缶工だけでなく溶接工や設計者なども関わって一つのものづくりが成り立っています。

 

製缶工の魅力とは

昔ながらの製缶工は、一連の作業を全てこなして初めて一人前の製缶工として認められたと言います。多岐に渡る知識や技術の蓄積には時間と経験が必要ですし、製缶作業は体力が物を言います。かなり大変な仕事であることには変わりありません。それでも、製缶に携わるのは「ものづくり」の魅力が詰まっているからです。これまで培ってきた経験を生かすだけではなく、時には新たなアイデアを基に試行錯誤して、求められる最高の物をつくり上げる。そうした喜びが、製缶工にはあると言います。

この動画では、製缶工として勤める方のお話を聞くことができます。ものづくりに関わる仕事には、その職種でしか感じることのできない達成感があると言います。自分の技術を試したり、磨き続けることで、昨日とは違う今日を感じることができるからかもしれません。

 

まとめ

今回は、製缶工という仕事に注目して、詳しくご紹介していきましたが、いかがだったでしょうか?製缶工になるには、製作所や鉄工所などに就職して、その中で製缶に携わる部署に配置される必要があります。全く知識や技術の無い状態からでも、経験を積むことで着実に手に職をつけることができます。ものづくりに興味がある人はぜひ、もっと詳しく調べてみてください!

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 【ウッドショックとは何か?】 ウッドショックとは、木材価格の急激な上昇と供給不足によって引き起こさ…
ページ上部へ戻る