高圧受電設備とは電気代がお得?知る人ぞ知る電気設備の中心部!
高圧受電設備っていったい何?
目次
こんにちは、今回の記事は高圧受電設備についてです。
皆さんは高圧受電設備といってどんなものかイメージがつきますでしょうか。
ここで、「知ってる!箱状のやつだよね!」となる方は電気設備リテラシーが高い方です。
厳密にいえば建物内にそういった設備を並べて電気室とするところもあるのですが、主流となっているものはキュービクルといわれる受電設備を大きな箱に詰め込んだものです。
高圧受電設備の種類
高圧受電設備の種類は、
・キュービクル
・開放型
の2種類があります。
それぞれのメリットとデメリットをご紹介していきましょう。
キュービクルのメリット
・工場で作られるため、品質が安定している
・組み立てたものを設置するだけなので、工期が短い
・設備がすべて箱の中にあるため、外部から触れる心配がない
・コンパクトで場所を取らない
キュービクルのデメリット
・工場生産なので、部品の交換などが簡単にできない
・箱の中に詰まっているのでメンテナンスがしにくい
開放型のメリット
・目視での点検が楽にでき、メンテナンスが簡単
・設備の増設なども対応が楽で済む
開放型のデメリット
・工事費が高くなる
・現地施工のため、工期が長くなる
・現地施工なので、品質面に不安が残る
・充電部が露出しているため、接触する可能性がある
なぜ高圧受電をするのか
一般家庭は低圧受電
一般的な家庭では基本的に低圧での受電を行っています。
身近にある電柱にバケツのようなものがついているのを見られたことはないでしょうか。
あれが変圧器と呼ばれるもので、電柱に流れている6,600Vの電気を家庭用の200Vや100Vに変圧するものなのです。
電圧が下がると、流れる電流が多くなります。
中学校などでやったオームの法則は覚えていますでしょうか。
電圧と電流は相互に関係しているため、高圧から低圧にすると電流が多くなります。
一般家庭はこの低圧をそのまま引き込んでくるのです。
電流とケーブルの関係性について
電流というのはよく水に例えられます。
それは電気の性質が水が流れるのと似ているところからきています。
水をたくさん流したい場合、細いホースではあまり流れませんよね?
それと同じで電流もたくさん流そうとすると、太いケーブルが必要になってきます。
低圧にした段階で、電流量が増えるためある程度太めのケーブルが必要となってくるのです。
一般家庭では消費電力量がそれほど多くないため、太くなってもそれほどでもない太さなのですが、これが消費電力が多い建物になってくると、ものすごく太いケーブルが必要になってくるのです。
そこで登場、高圧受電
低圧で受電するとケーブルが太くなってしまう場合、電力会社としても経済的にも施工面でも条件が悪くなるため高圧での受電をするように求められます。
具体的には50kW以上の電力需給が見込まれる場合は、高圧での受電設備を設置する必要が出てくるのです。
高圧受電を行う場合は電柱の電線から変圧器を通さずにそのまま6,600Vで建物内に引き込んできます。
その際に電力会社との責任分界点となる開閉器を設けるのです。
高圧受電をすることのメリット
上記の通り、電力需給量によって高圧受電をする必要があるので自由に選べるものではないのですが、高圧受電をすると実はメリットがあるのです。
それは電気代が安くなるというところにあります。
高圧で受電するということは、変電設備については電力会社でやるのではなく自分たちで用意する必要があります。
キュービクルもそうですが、受電設備一式というのはとても高額なものなのです。
低圧で受電する場合はその設備の分の費用やメンテナンスの費用などがすべて含まれた電気代の設定になっております。
そのため、高圧受電の場合は電気代が低圧に比べ、かなり安くなっています。
もともと高圧受電をする建物というのは、電力消費量が多いので電気代も月に数十万とか数百万になるところもあります。
ですので、自分たちで受電設備を用意する費用が掛かったとしても、トータルコストで安くなるので経済的にはお得です。
高圧受電設備は設置するのも一苦労
一般的な低圧で受電して工事をするものと比べ、高圧で受電して変電設備のあれこれを全部見るとなると電気工事としての世界が一つ大きく広がります。
必要な機器類の知識も多くなってきますし、現場の納期と受電設備の納期などの調整も必要なのでいろんなことを並行して考えるようになれるのです。
実際にこの高圧受電設備というものはかなり大型なものですので、人力で運ぶのは通常の作業員ではできません。
重量物運搬を仕事としている業者にお願いして、搬入据付をしてもらう必要があります。
また、クレーンの手配も必ず必要になるのと、クレーンを使用するときに道路を封鎖してしまうのであれば警察へ届け出するのも必要となってきます。
高圧を扱うことで、電気設備の施工管理としても上のレベルになれますので、もし施工管理をされている方がいましたら、そういったところに足を踏み入れてはいかがでしょうか。