電気工事でよく聞くVA(ボルトアンペア)とは?W(ワット)との違いは何?

ボルトアンペアは電気の計算に必要
こんにちは、今回は電気の施工管理をするうえで、設備の電力を把握するために必要なVA(ボルトアンペア)ならびにW(ワット)なんかについてお話していきたいと思います。
実はその他にもvar(バール)なんて単位もありますので、そちらも合わせて知っておきましょう。
一般的には電気でよく聞く単位はワットでそのほかでいうとA(アンペア)とかV(ボルト)とかもあります。
電気についてある程度、知識のある人はアンペア、ボルトくらいは知っている方も多いですが、ボルトアンペアやワットとなってくると少し理解されている方というのは減るのではないかと思います。
そんなわけで今回は、そういった電気の計算に必要な知識をお伝えしていきます。
一般的によく聞くW(ワット)とは?
電力を分類する中で、有効電力をW(ワット)呼びます。
このワットという単位は電気代の計算に使う電力メーターのによって計測されています。
一般的な家庭ではこの有効電力のみを測定して電気代が決まっているのです。
有効電力という言葉から想像できるように実際に機器で使用される電力を表しています。
じゃあ使用されなかった電気なんてあるの?と思われる方もいるのではないでしょうか。
ケーブルから外に逃げているわけではありません。
そこで使われるのが次の単位になります。
使われない電力の無効電力
無効電力とはvarで表され、バールと読みます。
ここまでで一番聞き覚えのない単位が出てきましたね。
無効電力のバールは有効電力であるワットとは違い、電気としての仕事をしないで流れる電力のことです。
無効電力は、コイルやコンデンサなどによって生み出されています。
無効電力が多くなると送っている電力の中で使われていない電力が多くなってしまうので、とても効率が悪くなります。
一般的に使用されている電気設備においてはコイルの成分を含んでいるものが多いため、設備としてバランスを取るためにコンデンサをあえて設置することもあります。
コイル成分とコンデンサ成分は打ち消しあうため、結果として無効電力を減らすことができるのです。
そうして無効電力をなるべく少なくするように調整はしますが、それでも無効電力をなくすことはできないため、電気の効率は100%にはならないのです。
VA(ボルトアンペア)とは
前置きはできましたので本題に入っていきたいと思います。
ボルトアンペアというのはここまでに紹介してきました、ワットとバールを合わせたものをいいます。
これが本来電気として必要な量ですので、実のところ1000Wの設備を動かすには1000VA以上の電気がいるということになります。
ですので、電気設備を扱う上では使用する機器もそうですのが、トータルの有効電力と無効電力を計算し、そこから皮相電力、つまり実際に必要な電力量を計算して設備を設置していくことになります。
有効電力と無効電力の合わせ方ですが、素直に足し合わせる形ではなく、ややこしいことにベクトルとして足し合わせる必要があります。
そのため、これ以上詳しいお話をしてしまうと拒否反応を起こす方がいると思いますので、詳細については触れずに行きましょう。
電力会社の無効電力対策
一般家庭の電力消費量からすると、無効電力なんてほとんど気にするほどではないくらいの量なのでこちらは無視されているのですが、これがある程度大きな建物となってくると無視できない電力となってきます。
電力会社としてもこの辺は改善をしてもらいたいと思っているのですが、あくまでも施設側の問題ですので、強制的に設置を義務付けるわけには行きません。
そのため、電力会社の対策としてはそういった設備、具体的には力率改善コンデンサを設置してくれるところには電気代を安くするなどの対応をとっている。
そうすることで電力会社としても無効電力が減ることでメリットが出てくるのです。
電力会社の扱う発電・変電・送電などの設備は電力全ての量であるボルトアンペアによって決まってきます。
そのため無効電力が大きくなればなるほど電力会社の用意する発電量やそれに伴う設備を大きくしなくてはいけないため、余計にコストがかかってしまうのです。
なので、無効電力を減らしてくれる施設に対して電気代を安くしても十分にメリットのほうが大きくなるのです。
需要家側も力率改善のためのコンデンサを付ける費用よりも将来的に電気代のほうが安くなるのであればつけようという気になるのでWin-Winですね。
電力の単位ボルトアンペアのまとめ
電力の単位でよく聞くワットとは実際に使用されている電力で、その裏には使用されていない無効電力というものが存在しているのです。
それらを全部合わせて電力として設備を考える必要があるのですね。
電気設備を設計する上で電気の総量を考えるのであればボルトアンペアでの計算が必須ということになります。
計算方法まで知る必要はないですが、そういう仕組みになっているということは覚えておくと役に立つと思います。