重機オペレーターになる第一歩!車両系建設機械の資格についてご紹介します。 「コンクリート打設用」篇

これまで、いくつかの車両系建設機械の特別な運転資格についてご紹介してきましたが、今回は「コンクリート打設用」の車両系建設機械の資格についてご紹介していきます。

 

コンクリートポンプ車

コンクリート打設用の車両系建設機械とは、コンクリートポンプ車のことを指します。(コンクリート作業者と呼ばれることもあります。)コンクリートポンプ車についてご説明していきますね。コンクリートポンプ車は、建設現場などでミキサー車が運んでくる生コンクリートを配管やホースを通じて打設現場へ圧送するポンプを装備した自動車のことをいいます。圧送とは、圧力をかけて押し出すことで、イメージとしては水鉄砲から水を飛ばすというものに近いと思います。ブームと呼ばれる長い管(イラストでいうとオレンジ色から黒い部分)から必要な箇所へピンポイントでコンクリートを流し込むことができるブーム車と、ブームを持たない配管車というものがあります。配管車は、配管車の場合は配管自体は人力で動かしたり配置したりして、コンクリートを流し込みます。ブーム車の場合は、車体自体の設置面積が必要であったり、環境の影響を受けやすいため操作がし辛かったりと様々な点を考慮しなければならないのですが、配管車は設置にそこまで面積を必要とせず、ブーム車が入れないような高さの低い場所にも入れるというメリットがあります。このため、それぞれの特徴を生かせる場所によって使い分けられているのです。

こちらの動画では、コンクリートポンプ車オペレーターの仕事について紹介されていますので、参考にしてみてください。

 

災害支援でも活躍するコンクリートポンプ車

コンクリートポンプ車は、コンクリートを流し込むだけではなく、災害支援に活躍した事例もあります。1997年に島根県隠岐島沖の日本海で起きた重油流出事故の際です。ロシア船籍のタンカーであるナホトカ号が悪天候により操舵困難となり、その後船自体が破損、島根県近海で沈没しました。この時、ナホトカ号は、暖房用の重油を19000キロリットル積んでおり、そのうちの約6240キロリットルが海へ流出しました。その範囲は、島根県から石川県にかけてとなり、相当広い範囲の流出事故となりました。この時の油回収作業で活躍したのが、コンクリートポンプ車です。普段はコンクリートを「排出」するという作業を行いますが、スクイーズ式のポンプを逆転させることで油を「回収」するという方法を取ったのです。本来の用途とは違いますが、こうした使い方もできるのですね。また、ここではナホトカ号の流出事故について触れましたが、東日本大震災の際にも活躍しています。興味がある方は、是非調べてみてくださいね。

 

車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置の操作の業務に係る特別教育

コンクリートポンプ車を扱う業務に就く場合には、上記の特別教育を修了している必要があります。コンクリ―トポンプ車の場合は、重量制限がないため特別教育の修了によって、全てのコンクリートポンプ車を操作することができるようになります。もちろん、公道を走るためには別途、特殊自動車免許が必要ですが、他の車両系建設機械の特別教育に比べると、重量制限がないので取得する際にどの講習を受けるか迷うことはありません。また、コンクリートポンプの操作に関しては、別途専門の資格もありますので、後ほどご紹介したいと思います。

 

<学科>

・車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置に関する知識(4時間)

・車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置の操作のために必要な一般的事項に関する知識(2時間)

・関係法令(1時間)

 

<実技>

・車両系建設機械(コンクリート打設用)の作業装置の操作(4時間)

・車両系建設機械(コンクリート打設用)の運転のための合図(1時間)

 

学科7時間、実技5時間の計12時間で講習を修了することができます。18歳以上なら誰でも受講できますので、比較的取得しやすい資格になっています。

 

コンクリートポンプに関わる資格

先程少し触れましたが、コンクリート圧送に関して、国家資格や民間資格などが設けられており、現場によってはそうした資格の有無も関わる場合がありますので、ご紹介しておきます。

 

<国家資格>

コンクリート圧送施工技能士

1級→実務経験7年以上(2級を持っている場合は、2級取得から2年以降)

2級→実務経験2年以上

⇒国家資格である技能検定制度の一種。都道府県知事が実施する「コンクリート圧送施工に関する学科及び実技試験」に合格する必要がある。

 

<民間資格>

コンクリート圧送基幹技能者

コンクリート圧送業務の実務経験が10年以上

コンクリート圧送施工技能士1級の資格を所持

職長教育修了後の実務経験が3年以上

これら三つの要件を全て満たす者が登録講習の受講資格者となる。

⇒認定員会によって「登録コンクリート圧送基幹技能者認定審査規定」に基づき、認定に係る業務が実施されており、登録講習を修了した後試験を受けて合格する必要がある。登録講習終了後は、試験を受けることができるが、試験を受けることができるのは、認定講習を修了した年を含めて3年以内という期限がある。

 

まとめ

今回は、コンクリートポンプ車という車両系建設機械に特化した資格についてご紹介しました。特に、最後に紹介した国家資格や民間資格は実務経験が必要となりますが、非常に信頼度の高い資格で、持っていると仕事には困らないと思います。特別教育を修了する予定がある人は、こうした資格を視野に入れて実務経験を積んでも良いかもしれないですね!

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