走行集材機械とは一体何?車両系林業機械の運転資格についてご紹介します!
走行集材機械ってなに?
目次
これまでは重機について全てではないですが、触れてきました。今回は走行集材機械と呼ばれる機会についてご紹介していきます。走行集材機械は、より広い分類で車両系林業機械の中に属しています。車両系林業機械には、走行集材機械以外にも伐機等機械、簡易架線集材装置が含まれています。
図解すると、このようになります。以前に、こちらの記事で建設機械について一部ご説明しましたが、一般的に重機と呼ばれるのは建設現場や土木現場で使われる場合を指します。同じ重機でも、林業において使い方が異なる場合は車両系林業機械に分類されることがあるのです。どういうことかというと、油圧ショベルの場合、バケットを使って土を掘ったり、整地をしたり或いは土砂などを積み込みする場合は、車両系建設機械の特別教育や技能講習で資格を取ります。一方、同じように油圧ショベルでも、プロセッサーやウィンチを使って木材を掴んだり、運んだり、あるいは積み込み・切断・引っ張るなどの業務を行う場合は、車両系林業機械特別教育の受講が必要になるのです。同じ機械を利用するにしても、用途のちがいによって別の講習を受けなければならないのは、それだけ危険が伴うということです。
平成25年に新設された特別教育
車両系林業機械特別教育は、三つに細分化されます。
①走行集材機械
②伐木等機械
③簡易架線集材装置
先程、紹介した車両系林業機械の分類と同じですね。実はこの資格は平成25年11月に公布された、まだまだ新しい資格なのです。これまでは、林業における機械の運転に関する特別な資格などは基本的にはなかったのですが、急速に進む機械化によって多くの労働災害事故が増加したという経緯があってこの特別教育が設置されたのです。車両系林業機械を利用した上での労働災害事故には以下のようなものがあります。
・集材車ごと道から転落死、集材車の下敷きになる。
・木材を積み込み中、木材に激突する。
・グラップルでつかんだ木材が落ちて、付近で作業していた者に激突する。
・重機が旋回した際、付近で作業していた者に激突する。
これは、死亡につながる重大な事故ですが、機械の基本的な操作や安全確認をしっかり行えば十分に防げる事故にあたります。
走行集材機械の運転資格をとろう!
さて、今度は車両系林業機械特別教育の内容についてですが、先程も説明したように三つの免許に分かれます。一つずつ見ていきましょう。
走行集材機械に関する特別教育
<学科>
・走行集材機械に関する知識(1時間)
・装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識(1時間)
・走行集材機械の作業に関する知識(2時間)
・運転に必要な一般的事項に関する知識(1時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・走行集材機械の走行操作(3時間)
・走行集材機械の作業のための装置操作(3時間)
伐木等機械の運転業務
<学科>
・伐木等機械に関する知識(1時間)
・走行及び作業に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識(1時間)
・伐木等機械の作業に関する知識(2時間)
・伐木等機械の運転に必要な一般的事項に関する知識(1時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・伐木等機械の走行操作(2時間)
・伐木等機械の作業のための装置操作(4時間)
簡易架線集材装置などの運転業務
<学科>
・簡易架線集材装置の集材機及び架線集材機械に関する知識(1時間)
・河川集材機械の走行及び作業に関する装置の構造及び取扱いの方法の知識(1時間)
・簡易架線集材装置及び架線集材機械の作業に関する知識(2時間)
・簡易架線集材装置及び架線集材装置の運転に櫃長那一般的事項に関する知識(1時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・架線集材機械の走行操作(1時間)
・簡易架線集材装置の集材機の運転及び架線集材機械の作業のための装置操作(3時間)
・ワイヤーロープの取扱い(4時間)
それぞれの講習ごとに20000~30000円程度の費用がかかりますが、ある資格を既に取得している場合は講習科目の一部が免除される場合があります。該当する講習がたくさんありますので、是非調べてみてください。既に車両系機械の資格を取得されている方はよく確認してみてくださいね。
次世代の担い手が求められる林業
今回は、林業に関わる機械の運転資格についてご紹介いたしました。林業は、若い担い手が不足していて、人材不足に悩まされています。しかし、人が生きていく上でこうした仕事は無くてはならないのも当然のことです。そこで、全国森林組合連合会が実施主体として「緑の雇用」制度を実施しています。これは、未経験者でも林業で働けるように、必要な知識や技能を学んでもらうための制度で、講習や研修を行うことでキャリアアップを支援していく制度です。
詳しくはこちらのホームページをご覧ください。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/koyou/attach/pdf/03-11.pdf
これを機に、少しでも林業に興味を持ってくれれば幸いです。