自伐型林業という新しい林業へ関わるには。立木の伐木作業者の資格が必要!
みなさんは林業という仕事について、どのようなイメージを持っていますか?林業は、木を伐採し木材を生み出すだけの仕事ではありません。森林という人間の生活に不可欠な自然環境を保持、育成することもまた林業に関わる者の仕事です。
さて、今回はそうした林業の仕事と、林業の実態、そして林業に関わるために必要な資格についてご紹介していきます。
林業は衰退産業と呼ばれていた
林業とは
林業の仕事は、森林で樹木を伐採し木材を生産する第一次産業です。木材は建築材料だけでなく、家具や紙製品などの原料にも使われるため、林業はわたしたちの生活には欠かせない仕事です。ただ、こうした木材を産出するためには、森林の環境の維持・保全も徹底しなければなりません。当然、木を伐(き)り過ぎれば自然破壊につながりますよね。このため、林業に関わる場合は木の伐採だけでなく、森林を適切に管理する仕事も含まれます。例えば、植栽・間伐・枝打ちなどもその仕事に入ります。環境保全のためにも、ある程度の木を伐ることは必要なことなのです。こうした管理された森林が、雨水を適切に貯水し構図鵜を防ぐなどして、災害の防止に大きな役割を果たします。
輸入材の増加
さて、一方で実は日本の森林資源の量は増加しているというデータがあります。そのままの意味ですが、つまり森林が増えているのです。これはなぜか。外国の安い木材の輸入が増え、国産の木材の消費が減っているからです。国土の約7割が森林である日本では、ある程度の木の消費を行なわなければこのように森林が増えていきます。環境保全のために木を伐採しても、国産の木材は消費されないというのは困りますよね。国内の流通経路が複雑であるという点も原因とされています。
衰退産業「林業」
このような輸入材の増加に伴った国産材木の需要の低下とともに、林業では就業人口の低迷が深刻化しています。このため、衰退産業と呼ばれていました。こうした状況を打開するために、林業関係者は日々新しい方法を模索しています。この中で、最近「自伐型林業」という新しい林業の在り方が取り沙汰されるようになってきました。聞いたことはありますか?「自伐型林業」とは一体なんなのでしょうか。
「自伐型林業」とは
これまでの林業は、森林組合に委託するのが普通でした。どういうことかと言うと、森林の所有者がその森林を管理するわけではなく、森林組合を通して専門の業者に委託し、木の伐採・造材・搬出をやってもらうスタイルということです。これに対して、「自伐型林業」とは森林の所有者が森林の管理を行っていくスタイルを指します。実は、それ以前は日本の林業は自伐型だったとされています。木材の輸入が自由化された際に、輸入材と競うために林業の大規模化がうたわれました。このため、森林組合への委託が主流になったとされています。
「自伐型林業」のメリット
コストが低い!
自伐型林業は小規模で行っていくため、その分大型機械を使わないというメリットがあります。このため、機械などを導入する際の初期費用は約300~500万円程度でできるとされています。木材の搬出までのコストがそれほどかからないので、国産の木材をこれまでより低コストで売り出すことも可能です。ちなみに、使用するであろう機械は下記です。
・チェーンソー
・3トランクスのミニバックホー
・林内作業者
・軽トラックや2トントラック
このように、新しく取るべき特別な資格が少なくて済むのも大きなメリットです。
環境保全度アップ
自伐型林業は、全体の2割以下の間伐を繰り返すことで、残った木をしっかりと成長させ、その木々が育つ約10年後の間伐の時に、面積当たりの材質などをより良くするという方法です。10年後を見据えた間伐を行なうわけです。現行の林業で問題となっている点は、環境保持をしなければならないのに採算が合わないということです。このため、採算を合わせるために木を伐採しすぎて、森林が荒れてしまうケースもあります。
現行林業の約10倍の就業者を生み出す
森林は、所有していれば基本的に自分のものですので、毎年同じだけの利益を上げられると考えて良いです。したがって、面積あたりの就業者を増やすことができます。また、多様な森林経営を展開することができるので、再就職や障がい者就労にも広がっていきます。
農家と林業
このように、自伐型林業は非常に優れたスタイルの林業であることはわかりました。何より、自伐型林業だと兼業でも林業に従事するこができるという魅力があります。特に、農家との兼業は非常に相性が良いとされています。専業で農家を行なう場合は、機構に左右され年によってはあまり収入を得られないなどの不安定さがあります。これを補うのが林業です。林業で間伐を行なう時期は、ちょうど農家が閑散期となる秋や冬です。こうして兼業することによって、収入源を新たに確保できるという魅力があります。
まとめ
これまで行なってきた林業では、4人を雇うためにも1億円規模の大型機械を導入しなければならず、非常にコストがかかるものでした。これに対して、自伐型林業は非常に低コストで行なえるため、日当額もこれまでより高くなる計算となります。さて、これを読んで「山を持っていなければできないのでは!」と思った方もいると思います。例えば自治体が所有している山林の場合、自伐型林業のために人員を募集しているケースが増えています。この場合は、機械の貸し出しを行なっていたり独立の手助けとなる補助金制度を整えていたりと、今、非常に注目されている仕事です。基本的な伐採の知識と技術は必要ですが、それ以外には特に何もいらないということもあり、副業として始める方もいるようです。これを機会に、自伐型林業に興味を持っていただければ幸いです。