研削・研磨の資格!研削といしの取り替え等の業務に係る特別教育
前回、研磨の仕事について概要をご説明しました。製品の表面をピカピカに仕上げていく仕事は、物事をとことん追求していきたい性格を持つ人におすすめです。細かい作業が伴いますので、そういった作業が好きな方も力を発揮できるかと思います。さて、そんな研磨の仕事に対しては取得すべき資格があります。今回は、そちらを中心にご説明していきます。
研削といし取替試運転作業者
目次
実は、研磨作業に使われる研削といしは取扱いを誤ると大変大きな事故につながる危険な道具にあたります。このため、研削といしの取替え時や取替え時の試運転の業務に従事する際には、事業者側が労働者に特別な教育を受けさせる義務を負うことになっています。
これは、労働安全衛生規則第36条第1項に基づいて、研削といしの取替え又は取替え時の試運転業務が危険又は有害な業務に該当するということが定められているためです。
研削・研磨作業の危険性
こうした作業に伴う事故は様々ありますが、大まかに4つに分類されます。
・研削といしの破裂による危害
・粉じん、切削屑の飛来による危害
・粉じんを吸い込むことによる危害
・接触、巻き込まれ、感電等による危害
研削といしの破裂については、想像が難しいかもしれません。作業中、グラインダーは高速で回転しており、強い遠心力がかかっています。これにといしが耐えられなくなると、破裂してしまうという原理です。このため、研削砥石には種類や性質に応じて最高使用周速度が設けられており、ラベルに記載されています。これは、非常に重大な事故を招く可能性があるため、注意が必要です。
粉じん、切削屑に関しては、特に目の負傷があるため保護具の装着を徹底する必要があります。また、粉じんの吸い込みを防止することもしっかり考えなければなりません。
接触、巻き込まれ、感電等ですが、特に従事者が保持するタイプのグラインダーなどはより注意が必要です。作業中に、回転に巻き込まれるリスクがあるため、しっかりルールを守って使用する必要があります。
このように、研削・研磨作業には非常に大きな危険が伴うことがおわかりいただけたでしょうか。こうした危険から労働者の健康・安全を守るためにも、特別教育の受講が必須となります。
研削といしの取替え等業務に係る特別教育
この特別教育を修了することで、研削といし取替試運転作業者の資格を得ることができます。この特別教育は、機械研削といしと自由研削用といしの二つのコースに分かれています。
機械研削とは、加工する対象物を装置に固定し、固定されたといしを使用し研削・研磨を行なう機械のことを指します。例えば、平面研削盤や円筒研削盤がこれに該当します。
自由研削とは、研削機会を作業者が保持し、あるいは加工する対象物を押し当てて研削・研磨を行なう機械のことです。機械研削が、といしと加工物両方が固定されているのに対し、自由研削はどちらかが固定されていないものを指します。グラインダーや切断機といった電動工具が該当します。
機械研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育の内容
<学科>
・機械研削用研削盤、機械研削用といし、取付け具等に関する知識(4時間)
・機械研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識(2時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・機械研削用といしの取付け方法及び試運転の方法(3時間)
学科7時間、実技3時間の合計10時間程度となっています。費用は13000円程度となっています。
自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育の内容
<学科>
・自由研削用研削盤、自由研削用といし、取付け具等に関する知識(2時間)
・自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識(1時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・自由研削用といしの取付け方法及び試運転の方法(2時間)
学科4時間、実技2時間の合計6時間となっています。費用は10000円前後で、講習時間も少なく費用も高くないので、負担の少ない資格となっています。
その他受講が必要な特別教育
さて、研磨・研削作業においては、削った加工物の粉じんが発生しますね。このため、該当する作業に対しては、粉じん作業特別教育の受講が必要となります。特に、固定されたグラインダーを使った金属研磨作業は、粉じん障害予防規則の対象となります。これに対して、従事者が保持する形で研磨作業を行なう場合は、この規則に該当しません。ただし、粉じんマスクの着用が必要です。
こうした作業の中で、従事者の健康と安全を守るためには別途受講が必要な特別教育が発生しますので、しっかり覚えておきましょう。ちなみに、粉じんについて関連記事はこちらになりますので、合わせてお読みください。
まとめ
このように、研削・研磨作業には大きな危険が伴うことがわかっていただけたかと思います。このため、特別教育の受講が必要となりますね。さて、次回はこうした研削・研磨作業を実際に行なっている会社について紹介をしていきたいと思います。