石材を加工する仕事石工とは?石材施工技能士についてご紹介します!
みなさんは、「石工(いしく)」という仕事について知っていますか?木材を加工する職人がいるように、石を加工する職人もいます。それが、石工です。さて、この仕事は一体どのような仕事で、どんな関連資格があるのでしょうか?
石と建築
ヨーロッパでは、石を使った家づくりが行われており、大昔から石工の仕事が生活を支えていました。一方で日本では、石による家づくりは盛んではなく、一見すると石工はあまり建築には関わっていなかったように思われます。しかしそれは間違いで、例えば城壁や橋、石垣などに石は用いられていました。国会議事堂は国産の石を使って建てられており、石の丈夫さがよくわかりますね。日本では、その場所によってとれる石の種類が異なるため、その石にあった加工技術が各地で発達していきました。
特に昔は、神社や仏閣で多くの石工品が使われていました。お地蔵さんなども結局は人の手によってつくられていますから、原料となる石を運んだり削り出したりする人がいるわけです。今とは違うので、電動工具などありませんから、すべては手作業によって行われていました。このため、石工の労働は非常に過酷だったと言われています。石を削り出すことで出る粉塵を吸ってしまい、肺を患う職人が多かったようです。
石工とは?
今でも石工の仕事は続いています。建築物に使う石の類は、石工品と呼ばれそれらを削り出したり加工したりする仕事です。例えば、瓦や墓石、石垣や石灯篭などを造るのも石工の仕事です。
このように、基本的には石を採石場で切り出す仕事と、切り出した石を加工する仕事に大別されます。現在は重機や電動工具を使うのが基本なので、それらの扱いも必要となってきますね。ただし、機械化が進んでいるとは言えまだまだ手加工を大切にしている職人さんたちもたくさんいます。そうした技術を受け継ぐには10年かかると言われています。こうした技術を守り、伝えていくのも仕事の一つでしょう。また、先ほども紹介したように粉塵に関わる仕事なので、粉塵マスクは必須、安全管理も求められます。
働き方としては、フリーランスで働く職人もいますが、石材屋や石屋で働くのが一般的です。しかし、石材屋や石屋は家族経営の場合が多く、現在でも身内や親せきで回しているところがほとんど。歴史がありますからね。一方で、そうした形態のため後継ぎがおらず人手不足が深刻化しています。石畳や河川敷の石タイル張りなどの公共事業の仕事もありますから、無くなってはならない仕事の一つです。
石材施工技能士とは
石工に関連した資格として、石材施工技能士という資格があります。これは、国家資格の一つで買う都道府県の職業開発能力境界の実施する技能検定に合格することで取得できます。石材施工技能士は、2級以上の場合、石工事の専任技術者になることができます。
<受験資格>
石材技能施工士は1~3級まであって、それぞれで必要な学歴と実務経験が異なります。
・1級…実務経験のみ 7年以上
2級取得後 2年以上
3級取得後 4年以上
・2級…実務経験のみ 2年以上
3級取得後 0年
・3級…実務経験なし
ちなみに、学歴や所持している資格によって必要実務経験年数は異なります。
<試験内容>
試験内容と範囲は級によって異なります。ここでは大まかな範囲のみをご紹介していきます。
学科
・施工法一般
・材料
・安全衛生
- 石材加工法
- 石張り施工法
- 石積み施工法(3級はなし)
※●印の部分については、級によって選択制となっています。
実技
1・2級…石材加工作業、石張り作業、石積み作業
3級…石材加工作業、石張り作業
お墓ディレクターってなに?
石を扱う仕事の中で、墓石は大きなジャンルの一つです。お墓を中心に手掛ける墓石屋さんはそこかしこにありますね。実はこれに関連する、お墓ディレクターという資格があるのです。
<資格内容>
一般社団法人 日本石材産業協会が認定している資格で、お墓に関する知識と教養を身に着けていることを証明する資格となります。
<受検資格>
お墓ディレクターは1級と2級があります。それぞれ受検資格が異なりますので、下記を参考にしてください。
・1級…実務経験3年以上かつ2級資格取得者。
・2級…実務経験なし、お墓に関連する業務に就いている者。
2級の「お墓に関連する業務」というのは、例えば下記のようなものです。
墓石小売業・加工業・採石業・卸業・輸入出業・墓石のクリーニング業・施工業・石材の運搬業・機械工具関連業・墓石関連メーカー、商社・墓石関連の出版業・墓石を販売する造園業者・仏壇業者など
直接墓石に関わらなくても、関連している仕事なら認定されているようです。
<試験内容>
・お墓の種類や形状
・お墓の歴史や文化
・石材の種類や加工法
・墓地、埋葬に関する法律
・供養に関する知識
費用は3万円程度となっており、やや高めに設定されています。墓石関連の仕事に就きたいと考えている場合は、取得しても損はない資格でしょう。2級はかなり合格率が高いですが、1級は約32%と難易度が高めとなっています。
まとめ
石材に関わる仕事は、今も非常に重要な反面人手不足が深刻化しています。このため、この業界に飛び込もうと考えている人たちは重宝されるでしょう。また、特に墓石関連は、デジタル化が進む社会でも需要は急激に落ち込むことがないと予想されます。石工の仕事を身に着けて、墓石関連の仕事に携わっていくのも一つの道ですね。