短絡すると大量の電流が流れる
こんにちは、今回の記事では電気を取り扱う中で起こると危険な短絡についてお話していきたいと思います。
短絡という言葉と皆さんは聞かれたことはあるでしょうか。
一般的には電気回路がショートするなどといった言い方をされているので、そう聞くと聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
映画やドラマなどではショートというとバチバチと火花が飛んでいる表現がされていますが、実際のところの短絡はそんな小規模のトラブルではなく非常に重大なものなのです。
そのため、短絡についての危険性を知っておいてもらいたいと思います。
短絡というのはどういう状況?
短絡という状況がどういうものかあまり知らない方にお話すると、短絡とは電気が流れてる導体が接触してしまい、負荷がないままで電気が流れてしまうことを言います。
これだけ聞いてもよくわかりませんよね?
簡単に言ってしまうと、電気を使う製品や器具がないままで電気が流れると大量の電流が流れてしまうのです。
電線には流せる電流の量が決まっているので、20Aしか流せないところに1,000Aとかが流れ込んだらどうなると思いますか?
これが重大事故に繋がる要因なのです。
短絡がおこると何が起こる?
先程もお伝えしたとおり短絡が起こると大量の電流が流れるのですが、電線で流せる電流には限界があり、それ以上の電流については流れることができず溢れてしまうのです。
電気があふれると聞くとイメージがつかないかもしれませんが、これについて全て熱にエネルギーに変換されてしまうので、電線が熱くなっていきます。
電線が熱を帯びていくとまず電線を覆う被覆、カバーが溶けてしまいます。
そうなると電線がむきだしになるので更に危険性は増します。
そして更に温度が上がると内部の導線自体も損傷してしまい、性能が低下することもあります。
電線が使えなくなってしまうので、こうなると新しくケーブルを引っ張る必要が出てきます。
これだけで済めば良いのですが、重大事故というのはこのケーブルの加熱が壁の中や天井内で起こる事でおこります。
電線は急激に熱くなるので、短絡時にはケーブル自体が火を出して燃えるのです。
それが壁の中などで起こると当然火事になります。
見えないところでいきなり火が出る、だから短絡は危険なのです。
短絡に対する対策をしよう
短絡が発生すると大きな電流がいきなり流れることになります。
100V程度の電圧でも数千Aの電流が流れることもありますので、きちんと対策をしないとその回路だけでなく他の回路、ひいては付近の建物まで被害が広がる事になってしまいます。
短絡の基本的な対策は、短絡が起こった回路への電流をいち早く止めるということが必要になります。
短絡電流は配線用遮断器で
短絡が起こったときの大電流を感知してその回路を切り離すようにする仕組みが必要です。
その仕組を担っているものが配線用遮断器となります。
配線用遮断器は、定格電流の10倍を超える電流が流れたとき、すぐに回路を切り離しをするいう特性があります。
回路に異常電流が発生した場合、配線用遮断器によって短絡地点を電路から遮断する事ができるのです。
配線用遮断器には保護協調が必要
回路の短絡を感知して回路の切り離しを行ってくれる配線用遮断器ですが、この配線用遮断器もいろんなところで設置されています。
そのため配線用遮断器同士でもレベルの調整が必要になってきます。
どういう事をするのかというと、なるべく小規模の電気回路の切り離しになるように設定するということになります。
各家庭で短絡が発生したときに回路を切り離して周辺住宅まで停電するようなことがあってはなりませんので、そういうときはその家だけで済むようにしなくてはならないということです。
小規模の短絡は小さく回路を切り離し、大規模な短絡の場合は大きな範囲の回路を切り離して行くように調整することを保護協調といいます。
下位の配線用遮断器で回路の切り離しができなかった場合、どんどんその上位の配線用遮断器で切り離すように計算しておきます。
高圧回路での短絡は更に危険
短絡した箇所が高圧回路となると更に大きな電流が流れることになるためとても危険です。
高圧での短絡事故ではキュービクル内に動物などが入り込むことでも発生したりします。
そのため、キュービクルを屋外に設置する場合については、密閉性を高めるために侵入防止ネットを設置したり、ケーブルの導入口についてはパテで余分な隙間を塞ぐと言った対策もしておくことは重要です。
人為的なミスで短絡したときには、死亡事故に繋がることも多いので高圧受電設備での作業にはくれぐれも注意しておいてください。
まとめ
電気のおかげで普段の私達の生活は豊かになっていますが、短絡してしまったときにはその電気のパワーがそのまま自分たちに被害を及ぼします。
便利な電気を安全に使用していくためにも短絡事故が起きないようにきちんと対策をしておくことが必要だと覚えてもらえればと思います。