発破技士と火薬類取扱保安責任者の資格は何がちがうの?比較してご紹介します!

さて、前回は発破技士の仕事と資格の取得の仕方について詳しくご紹介しました。これに対して、発破作用ができる関連資格で火薬類取扱保安責任者と鉱山保安技術職員についてもご紹介だけさせていだきました。今回は、発破技士とそれらの資格の何がちがい、どれを取得すればよいのかについてご紹介していきます。
火薬類取扱保安責任者とは
目次
前回も少し触れましたが、火薬類取扱保安責任者とは国家資格の一つとなりますが、管轄が発破技士と違い経済産業省になります。(発破技士は厚生労働省が管轄)
また、火薬類取扱保安責任者の他に、火薬類製造保安責任者という資格もありますが、字面が似ているのでお間違いのないようにしてくださいね。
火薬類取扱保安責任者は、甲種と乙種に分かれており、それぞれによって取扱うことができる火薬の量に違いがあります。
甲種…火薬庫の所有者または占有者において年20トン以上の爆薬、消費者において月1トン以上の火薬または爆薬
乙種…火薬庫の所有者または占有者において年20トン未満の爆薬、消費者において月1トン未満の火薬または爆薬 無添加可塑性爆薬は月1トン未満の制限
また、この資格を取得するためには試験に合格する必要がありますが、これは年に1回の実施となっています。また、火薬類製造保安責任者という資格も別にあるのですが、これを持っていると無試験で火薬類保安責任者の資格を取得することができます。さらに、火薬類取扱保安責任者の資格を持っていると、陸上・海上・航空自衛隊の技術陸曹・海曹・空曹の任用資格を得ることができます。
試験自体は誰でも受けることができますが、免許の交付は18歳以上とされています。
<試験科目>
・火薬類取締に関する法令
・一般火薬学
発破技士と火薬類取扱保安責任者のちがい
・管轄がちがう
・火薬類取扱保安責任者の方が上位資格
・試験回数がちがう(発破技士:年2回・火薬類取扱保安責任者:年1回)
このような違いがありますが、発破作業と共に火薬の管理が必要な場合は迷わず火薬類取扱保安責任者の資格を取ることをおすすめします。また、将来的に両方取得するという場合も、発破技士の職務も網羅できる火薬類取扱保安責任者の取得がおすすめです。発破技士の場合は、その現場で発破だけを行なうポジションに就けることがわかっているのなら、その資格のみの取得で構わないでしょう。
火薬類取扱保安責任者が活躍できる場所
さて、この資格を持っている場合、どんな場所で仕事ができるようでしょうか。簡単に挙げていきます。
・産業火薬店
・火薬の製造工場
・花火工場
・自動車工場(火薬を使う場合がある)
・採石場
・解体現場
・工事現場
花火を取扱うためにも必要な資格ということがわかりますね。日常の中で目にする機会はあまりありませんが、しっかりと活躍できる場はありそうです。
火薬類製造保安責任者とは
先程少し出てきたので、こちらについてもご紹介しておきます。この資格も、経済産業省の管轄で国家資格となっています。これは、甲種・乙種・丙種の3種類に分かれており、それぞれ火薬の製造量においてのちがいがあります。
甲種…火薬及び爆薬1日1トン以上、硝安油剤爆薬1日7トン以上、起爆薬1日50㎏以上、変形及び修理において火薬、爆薬及び火工品1日1トン以上
乙種…火薬及び爆薬1日1トン未満、硝安油剤爆薬1日7トン未満、起爆薬1日50㎏未満、変形及び修理において火薬、火工品1日300㎏以上
丙種…信号火せん及び煙火1日300㎏未満、変形及び修理において信号えん管、信号火せん及び煙火に製造量の制限あり。
<試験科目>
甲種
火薬類取締に関する法令
火薬類製造工場保安管理技術
火薬類製造方法
火薬類性能試験方法
火薬類製造工場に必要な機械工学電気工学及び機械工学大要
一般教養(数学、物理学、化学、外国語、国語、社会科)
乙種
火薬類取締に関する法令
火薬類製造工場保安管理技術
火薬類製造方法
火薬類性能試験方法
火薬類製造工場に必要な機械工学電気工学及び機械工学大要
一般教養(数学、物理学、化学、外国語、国語、社会科)
丙種
火薬類取締に関する法令
信号焔管、信号火せん又は煙火(原料火薬及び爆薬を含む。)製造工場保安管理技術
一般教養(数学、物理学、化学、外国語、国語、社会科)
丙種は比較的簡単に取得することができますが、火薬類取扱保安責任者の資格を無試験で取得できるという特典から除外されます。また、甲種・乙種は陸上・海上・航空自衛隊の技術陸曹・海曹・空曹の任用資格を得ることができますが、丙種はこれも除外されます。
廃止された鉱山保安技術職員
廃止されているので、紹介は不要とは思いますが、前回少し触れていたので少し紹介しておきます。2004年に廃止された資格ではありますが、この資格を既に取得している人は現在も利用することができます。鉱山での安全管理などの業務を行なう際に、責任者に必要な資格とされていました。
まとめ
2回に渡り発破に関わる資格についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。今後、発破業務を中心的に行っていきたいと考えている場合は、上位資格である火薬類取扱保安責任者の資格取得を目指していく方が効率的であることがわかりますね。