瓦屋根に関わる資格3選!【かわらぶき技士・瓦屋根工事技士・瓦屋根診断技士】

瓦職人が不足している!

日本の伝統家屋といえば、瓦屋根ですよね。本州では、今も瓦屋根を使った住宅が並んでいる地域は多いです。一方で瓦をつくったり、瓦屋根を施工する職人は減っているとされています。瓦を扱うには何か特別な資格が必要なのでしょうか?

そもそも、瓦屋根の工事自体が減っているため、当然その職人さんの需要は減ってきているわけです。それでも、伝統的な瓦屋根の施工は日本建築の大きな財産でもあります。これが無くなってしまうのは惜しいですよね。とは言え、瓦屋根の設置や修理、施工に関してはきちんとした知識と技能が必要となります。このため、瓦屋根の施工などに関する特別な資格があることがご存じでしょうか?3つの資格についてご紹介していきます。

 

かわらぶき技士

かわらぶき技士というのは、国家資格にあたる技能検定制度の一つです。瓦というのは、基本的には焼き物という扱いになります。今でこそいろんな素材があるので、焼かない瓦は設置も少し簡単になりますが、焼き物の瓦は設置の際に加工が必要となることもあるのです。こうした、瓦そのものに関する専門的な知識や、和型と呼ばれる専門的な和瓦の施工技術を持つことを証明するのがこの資格となります。ちなみに、「かわらぶき」というのは瓦を屋根に設置することを指します。

 

<受験資格>

この資格は、1級~3級に分かれていて、それぞれで受験資格が異なります。

 

1級・・・7年以上の実務経験、または2級合格後に2年以上の実務経験を要する。

2級・・・2年以上の実務経験、または3級合格者。

3級・・・なし

 

<試験内容>

学科

・屋根

・施工法

・材料

・建築概要

・製図

・安全衛生

 

実技

・かわらぶき作業

 

さて、かわらぶき技士の試験は実技が鬼門だとされています。それについて、少し詳しく見ていきましょう。

1級は、資格でも難易度が高く取得率が他よりも低くなっていますね。かわらぶき技士でも同様で、1級の特に実技試験は非常に難しいものだとされています。内容は、一文字軒という瓦を設置するというものです。この一文字軒が曲者で、一つ一つ形のそろっていない瓦を自分で調整しなければならないのです。しかも!その方法が、タガネと呼ばれる器具を使って人力で切りそろえるというもの!電動ノコギリなどは使用できません。タガネ一択です。この道具を使う経験自体が現場では稀なため、試験が難しいと言われているのです。しかも、この施工を制限時間内にやらなければならないということで、そもそもこの試験を受ける人が少なくなっているのです。これでは、瓦職人が減っていっても仕方ないと言わざるを得ません。それでも、こうした資格を持っていると知識と技術の証明になるということで、お客様は安心して施工をお願いできますよね。

ちなみに、1級は一文字軒瓦ですが、2級は万十軒瓦、3きゅうはF型粘土瓦を用いて実技試験が行われます。これはそれほど難易度が高いモノではありません。

こちらの動画は、タガネを使った瓦の調整の様子です。職人が一つ一つ手作業していることがわかりますね。

 

瓦屋根工事技士

この資格は、瓦屋根の工事に関するプロフェッショナルであることの証明となる資格です。基本的には、瓦の構法、設計、施工、品質管理などといった瓦屋根の工事に関する知識と技能を持っていることを証明することができます。特に、瓦屋根施工に関する管理者業務につく者が持つことの多い資格です。

独学での受験が難しいとされていて、開催団体である一般社団法人全日本瓦工事業連盟が行っている「瓦屋根工事研修会」を受講してから試験に臨む人が多いとされています。ちなみに、5年ごとに資格の更新が必要となります。

 

<受験資格>

・3年以上の実務経験。

 

<試験内容>

残念ながら、試験内容については不明です。

 

瓦屋根診断技士

この資格は、瓦屋根工事技士とかわらぶき技能士の資格を保有する者に対しての上位資格となります。ちなみに前述した両方の資格を持っていなければなりません。さらに、全日本瓦工事業連盟の会員である必要があります。両資格を保有し、同連盟の主催する講習を受けたのち、認定証をもらうことで資格の取得となります。診断技士というくらいですから、瓦屋根の異常を見極める業務に長けているということになります。なぜ、この資格が設立されたかというと、実は阪神淡路大震災の時に、悪徳なリフォーム業者が大量に発生し、こうした専門資格を設立することで、消費者が正規の業者をきちんと判断できるようにしたのです。災害の時には、悪徳商法で儲けようとする悪徳業者が頻出するので注意が必要です。消費者として、瓦の修理をお願いする場合はこうした資格の有無を確認するのも一つの手です。

 

技能グランプリかわらぶき部門とは

こちらの動画は、2019年の技能グランプリ「かわらぶき部門」の様子です。実は、瓦業界ではその技能を競う大会が毎年行われています。大会は2種類あって、

 

・全瓦連技能グランプリ

・技能グランプリ

 

となっています。この大会、同時開催ではなく毎年交互に開催されています。前者は全瓦連が主催する大会で、後者は厚労省と中央職業能力開発協会、社団法人全国技能士会連合会が一緒に主催している大会となっています。出場者は、この大会に向けて毎年2~3ヶ月の期間を練習に費やすと言われています。その練習のための瓦などの費用は、所属の会社が持ってくれるのだとか。こうした大会は、瓦に興味を持ってもらう良い機会となりますし、職人たちのモチベーションにもつながっていくので非常に面白い試みですよね。機会があれば是非見てみたいものです。

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