玉掛けってなに?超重要!玉掛けに関する特別教育についてご説明します!
玉掛け(たまかけ)って何?
建設現場などで使われるクレーンですが、たくさんの資材を吊り上げる様子を見たことはありますか?このクレーンのフックに資材を引っ掛けたり、外したりする作業のことを玉掛けと呼んでいます。自分でクレーンを運転しながら、玉掛け作業を行う場合もありますが、クレーンの運転者とは別に玉掛け作業をする作業員がいるなどする場合があります。こうした時は、玉掛け作業の際に大きな危険が伴うため、玉掛け作業には特別な資格が必要になります。
玉掛け作業の危険性
玉掛け作業は説明だけ聞くと、荷物を引っ掛けるだけで簡単そうに感じるかもしれないですが、かなりの危険を伴う作業です。例えば、クレーン等による死亡災害に関して、平成22年のデータでは死亡者数が70名なのですが、この内訳で玉掛け作業による死亡が55.7%を占めているということがわかっています。また、その玉掛け作業に関する事故には以下のようなものがあります。
・玉掛け用具からつり荷が外れる。
・クレーンフック等から玉掛け用具が外れる。
・吊り荷、吊り具などに激突される、挟まれる。
・玉掛け用具が破損する、切断する。
このように、用具を正しく選択することや使うこと、周囲の安全確認などを徹底することが、玉掛け作業による事故を減少させることにつながっていきます。ちなみに、玉掛け作業に伴っての感電事故なども起きています。これは、移動式クレーンなどを送配電線の付近で使用する際に、クレーンのワイヤーなどが送配電線に接触してしまい、玉掛け作業者が感電してしまうという事故です。こうした、作業環境による事故も発生するため、作業時の送配電線の位置の把握、距離の確保など留意すべきことは様々あります。
玉掛けの資格について
玉掛けの作業に就くための資格を取得するためには、技能講習か特別教育を受講する必要があります。
技能講習…制限荷重が1㌧以上のクレーンなど(クレーン・デリック、移動式クレーン、揚貨装置)に係る玉掛け作業。
特別教育…制限荷重が1㌧未満のクレーン(クレーン・デリック、移動式クレーン、揚貨装置)などに係る玉掛け作業。
この講習を受ける際には、18以上という年齢制限の他に設定されている制限はありません。一般的には、クレーン・デリック運転士や移動式クレーン運転士のなどクレーンの運転資格を取得する際には、玉掛けの資格も同時に取得するのが主流です。ただ、先程も申し上げ通り自分で運転するクレーンに自分で玉掛けする場合もあれば、他者が玉掛けする場合もありますので、そうした場合はクレーンの運転資格がない作業者が玉掛け作業の資格を取得するケースがあります。特に、鉄筋工やとび職はクレーンを使わなくても、玉掛け作業に従事する場合が多いので、必要な講習を受けています。
また、クレーンの能力によって玉掛け作業における受講すべき講習が異なります、例えば、荷重自体が100㎏程度であっても、クレーンが2.5㌧であれば、技能講習を受ける必要があるのです。
玉掛け技能講習
<学科>
・クレーン等に関する知識(1時間)
・クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識(3時間)
・クレーン等の玉掛の方法(7時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・クレーン等の玉掛(6時間)
・クレーン等の運転のための合図(1時間)
この技能講習は、既に取得している資格によって科目が免除される場合があります。ご自分の資格と照らし合わせて確認するようにしましょう。上記科目は、未経験の場合の講習時間になります。また、技能講習の場合は、科目と実技それぞれで修了試験が課されます。
玉掛け特別教育
<学科>
クレーン等に関する知識(1時間)
クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識(1時間)
クレーン等の玉掛の方法(2時間)
関係法令(1時間)
<実技>
クレーン等の玉掛(3時間)
クレーン等の運転のための合図(1時間)
特別教育の場合は修了試験がなく、学科・実技合わせて9時間の受講で資格を取得することができます。
玉掛業務従事者安全衛生教育
<学科>
最近の玉掛用具の特徴(1.0時間)
玉掛用具等の取扱いと保守管理(2.5時間)
災害事例及び関係法令(1.5時間)
この玉掛けに関する安全衛生教育は、既に玉掛け業務に従事している有資格者を対象にして、一定期間ごとに実施されるものです。玉掛け作業については、知識や機械そのものの更新や技術の継続的な研鑽が必要であるため、定期的な受講機会を設けて、安全に対する意識向上に努めているのです。
まとめ
このように、玉掛け作業は非常に危険なため特別な資格が必要であることがわかりましたが、建設現場や土木の現場ではこうした作業は必要不可欠であり、現場の作業員一人ひとりがしっかり専門的な知識と技能を身に付けている必要があります。しっかり講習を受けて、現場の作業員全体で安全に対しての意識も共有できたらいいですね。