特別教育だけでは公道を走れない!大型特殊自動車免許についてご紹介します!
これまで、いくつかの車両系特別機械関係の特別教育や技能講習をご紹介しました。しかしいずれも、個別の業務に従事するための特別資格であり、その車両を使って公道を走るためには別途免許が必要になることも触れました。一方で、その免許だけを持っていても公道を走ることはできますが、特別教育を受講しなければ作業ができないということもあり、建築や土木の世界で重機を操る者は、重複して免許や資格を取るのか通例です。そこで今回は、大型特殊自動車免許についてご紹介していきます。
日本における自動車免許の種類
目次
運転免許証を持っている人はわかると思いますが、日本における自動車免許の区分が記されていますよね。この区分によって、運転できる車両は以下のように分類されます。
運転できる自動車・原動機付自転車 |
|||||||||
免許の種類 | 大型
自動車 |
中型
自動車 |
準中型
自動車 |
普通
自動車 |
大型特殊自動車 | 大型自動二輪車 | 普通自動二輪車 | 小型特殊自動車 | 原動機付自転車 |
大型免許 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
中型免許 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
準中型免許 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
普通免許 | ○ | ○ | ○ | ||||||
大型特殊免許 | ○ | ○ | ○ | ||||||
大型二輪免許 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
普通二輪免許 | ○ | ○ | ○ | ||||||
小型特殊免許 | ○ | ||||||||
原付免許 | ○ |
一般的に取得される普通免許があれば、小型特殊自動車を運転することが可能なんですね。大型の重機などを運転する場合には大型特殊免許の取得が必要となることがわかります。今回はこの免許についてご紹介していきますね。
大型特殊免許について
大型特殊免許は取得することで、表の通り大型特殊自動車・小型特殊自動車・原動機付自転車を運転することが可能になります。「大特」と省略して呼ばれることもあるようです。特別な用途で使用する特殊形状の車が運転できる資格で、例えば除雪車やショベルカーなどが該当します。また、現場で使用する車両を運ぶために、大型・中型免許と同時に取得する場合も多くあります。
大型特殊自動車と小型特殊自動車のちがい
道路交通法と道路運送車両法によって、特殊自動車は大型と小型に分けられています。それでは、大型と小型はどのように分けられているのか、ちがいを見ていきましょう。
大型特殊自動車 | 小型特殊自動車 | |
全長 | 12m以下 | 4.7m以下 |
全幅 | 2.5m以下 | 1.7m以下 |
全高 | 3.8m以下 | 2.0m以下
ヘッドガードがある場合は2.8m以下 |
最高速度 | 制限なし | 時速15km以下 |
排気量 | 制限なし | 制限なし |
大きさにかなりのちがいがあることがわかりますね。ちなみに、大型特殊自動車は最高速度が制限なしとなっていますが、時速49km以上を出すと危険だとされています。また、小型特殊自動車は最高速度に制限がありますが、農作業用は時速35km未満という定めが別にあります。
大型特殊自動車免許の取得条件とは
大型特殊自動車免許を取る前に、普通MT免許の取得が必要です。このため、普通自動車免許の取得を考えている人で、将来的に大型特殊自動車免許を取得することも考えているという人は、AT限定ではなくMTの免許を取っておくと役に立つでしょう。また、視力についても以下のような条件があります。
・両眼で0.7以上
・片眼で0.3以上(ただし、0.3未満の場合は他眼で0.7以上かつ視野150°以上)
このようになっています。
費用と期間はどれくらい?
普通免許を既に持っている場合ですが、90000~100000円程度で取得できます。ただし、試験の際には別途受験料などがかかることを想定しておきましょう。
通常、学科22時間・技能12時間の教習が必要となりますが、普通免許を取得している場合は学科が免除され、技能教習は最短6時間で済むことになっています。試験などを含めて、最短4日程度で取れる場合もあるようです。なお、教習機関は3か月間までと決まっているので、短時間集中で取れると安心ですね。
こちらの動画は鶴ヶ島自動車教習所の大型特殊自動車免許教習の紹介動画です。ご興味があればご覧になってみてください!
大型特殊自動車の一種と二種
免許には一種と二種と種類がある場合がありますが、大型特殊自動車免許の場合は一種と二種があります。二種とは、通常旅客運送(お客さんを目的地まで運ぶ)をするために取得するもので、試験内容が異なります。しかし、大型特殊自動車でお客さんを配送することはあまりないと思いますので、一種免許で十分とされています。
大型特殊自動車のあれこれ
大型特殊免許には、「カタピラに限る」などという限定免許が存在します。これを使う場合は、自衛隊の戦車などを運転する場合です。戦車を運転する予定のある人は、この免許が必要になります。その他にも、農耕車限定免許もあります。これは、農作業の際のトラクター運転のみができる免許となっています。こうした限定免許を持っている人の場合、他の大型特殊自動車を運転するためには限定解除が必要になります。
まとめ
今回は大型特殊自動車のついてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。一見、取得が難しそうに見えますが、普通免許を持っている人には費用も期間も思っているよりかからず、また簡単に取得できることがわかっていただけたのではないでしょうか。これから普通免許を取る人は、大型特殊自動車の取得も視野に入れてみてはいかがでしょうか?