溶接ヒュームの法律改正?最新情報をまとめました!

昨年、2020年4月22日に告示されていた、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令などの施行等について」ですが、このたび2021年4月1日に施行されています。今回の一部改正の中で注目されているのが、「溶接ヒューム」についてです。今回は、溶接ヒュームの扱いの変更とそれらに関わる部分についての最新情報をまとめていきます。

 

溶接ヒュームってなに?

今回触れていく溶接ヒュームについてですが、まずは溶接ヒュームが何なのかについてご説明しておきましょう。溶接ヒュームというのは、アーク溶接をするときに発生する細かい粒子のことを指します。発生する原理としては、アーク溶接をする際に高熱によって溶けた金属が蒸気となり、さらにその蒸気が空気中で冷やされることによって、非常に細かい粒子として舞うというものです。この粒子は、非常に細かいですが、実際に煙のような形で目にすることができます。当然ですが、この粒子は元々が金属ですので、人の体に大量に取り込まれると健康被害が出ることは自明の理ですよね。溶接ヒュームというのは、いわゆる粉じんにあたり、長期間曝されると「じん肺」発症のリスクが高まります。

アーク溶接

今回の改正のポイントは?

さて、この溶接ヒュームに関わる今回の法律改正のポイントは一体どこにあるのでしょうか?

今回改正された部分は、

 

「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」という定めから、「塩基性酸化マンガンを除く」という部分を削除し、これらを特定化学物質(第2類物質)に指定する。

 

この部分にあたります。

 

一体どういうことかというと、

これまで塩基性酸化マンガンは特定化学物質に該当していなかったのですが、これがやっぱり健康に影響があるから、特定化学物質に指定します!ということなのです。実はこの塩基性酸化マンガンというのが、溶接ヒュームの中にも含まれている物質なのです。

 

溶接ヒュームの健康への影響について

さて、今回特定化学物質に加えられた塩基性酸化マンガンは、一体どのような影響を人体にもたらすのでしょうか?

簡単にですが、まずは特定化学物質についておさらいしておきましょう。

特定化学物質というのは、これらに関わる労働者の健康に影響を与える可能性が高い物質として、労働安全衛生法施行令によって定められている化学物質のことを指します。さらにその中で第1~第3類と、ある基準によって分類されています。

 

第1類・第2類…微量の暴露でがんなどの慢性・遅発性障害を引き起こす物質

第3類・第2類のうち特定第2類物質…大量漏洩によって急性障害を引き起こす物質

製造等禁止物質…原則的に製造や使用が禁止されている物質

 

分類の仕方は以上のようになります。特定化学物質については、別記事にて詳しくご紹介していこうと思います。

 

今回、溶接ヒュームにも含まれている塩基性酸化マンガンは第2類物質として分類されるようになりました。つまり、「大量漏洩によって急性障害を引き起こす物質」に該当することがわかったのです。

つまり、溶接ヒュームを吸引したことによって、多数の健康被害が報告されているということです。どんな健康被害かと言うと、神経機能障害だと言われています。これは、溶接ヒュームに含まれるマンガンによって発症のリスクが高まることがわかっています。さらに、蓄積された溶接ヒュームによって肺がんの発症リスクも高まることがわかりました。このため、溶接ヒュームは特定化学物質第2類として分類されることになったのです。ここで気を付けなければならないのは、「溶接ヒューム」という項目が単独で指定されたということです。「マンガン」も別で指定されています。先ほどから、塩基性酸化マンガンは溶接ヒュームにも含まれているというお話をしていきました。となると、マンガンが含まれていない溶接ヒュームは大丈夫なのか?という話になってきますよね。先ほども触れたように、今回の改正によって「溶接ヒューム」も指定されていますので、マンガンの有無に関わらず、アーク溶接作業に関わる人たちに関係する法律改正ということになります。

 

法律改正による現場の変化

現場で働く人にとって気になるのは、この法律改正によって現場の環境や作業にどのような影響が出るのか、ということだと思います。具体的に見ていきましょう。

 

今回の法律改正によって、労働者を溶接ヒュームの健康被害から守るために、ばく露防止措置というものを行わなければなりません。この内容については、厚生労働省によって定められています。

 

①作業主任者を選任する。

②管理区域は設けない。

③作業場の換気を行う。

④空気中の溶接ヒューム濃度を測定する。

⑤測定結果に応じて、換気などの措置を行う。

⑥⑤を行った後は再度濃度測定を行う。

⑦呼吸用保護具を着用する。

⑧特殊健康診断を行う。

⑨作業場の床面清掃を行う。

 

これら、細かい部分については別記事にてご紹介していきたいと思います。

 

まとめ

今回は、溶接ヒュームそのものが特定化学物質の第2類に指定されたことを受けて、それに伴う作業環境の変更について大まかに触れました。元もと、溶接ヒュームは粉じんに該当するため、「粉じん障害防止規則」に添って必要な対策が講じられてきたかと思います。しかしそれだけではなく、今回の変更によって現場では作業や管理体制にも影響が出るようになります。実際にどのような変化があるのかは、次回の記事にてご紹介できればと思います!

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