溶接に関する作業ではどのような資格が必要?種類とその取得方法
- 一言に溶接といっても実は数多くの種類があり、資格所有者ではないと作業が行えません。どのようにして資格を取得するのか簡単に見てみましょう。
- 溶接とは
溶接とは、熱や圧力を加えることで部材を接合する手法のことです。これらの両方を加える場合やそれ以外にも溶加材を加えることもあり、その種類は主に3つに分類できます。「溶接」「圧接」「ろう接」です。
融接:母材を溶融させて液相にした状態を経由して接合させる
圧接:母材を密着させた上で熱と圧力を加え、固相のまま接合する
ろう接:母材よりも融点の低い合金(ろう)を用いて母材を溶融させずに接合する
- 溶接免許
これらの溶接作業をするのには特殊な免許が必要です。国家資格と民間資格があるため、その区別と資格の取り方をしっかり区別しておきましょう。
- 溶接免許の種類について
主要な溶接免許の種類をレベル別に分類してみると、以下のようになります。
国家資格 | 民間資格 | |
初級 | ガス溶接技能者
アーク溶接作業者 |
|
中級 | アルミニウム溶接技能者
PC工法溶接技能者 溶接管理技術者 |
|
上級 | ガス溶接作業主任者 | 溶接作業指導者 |
このほかにも、様々な民間企業が溶接に関する資格を発行しています。この記事では、これらのうち「労働安全衛生法に定める資格等一覧」に掲載されている3種類の国家資格、「ガス溶接技能者」「ガス溶接作業主任者」「アーク溶接作業者」について詳しく紹介します。
- 溶接免許(ガス溶接技能者)の概要、取得方法、費用は?
【概要】
ガスを使用して行う溶接作業で溶接の中の基本中の基本。免許制ではなく特別教育修了者に与えられる資格であるため、講習を受講することで資格の取得が可能。ただし、講習の最後に修了試験が課せられます。
【受験資格】
満18歳以上。
【どこで受ける?】
各地区溶接技術検定委員会もしくは各都道府県指定機関
【費用】
1万5千円前後。(不合格の場合は1年間再受講料免除)
こちらも、講習を実施する団体により受講料が異なります。
【科目内容と時間】
学科講習 | 設備・構造の取り扱い | 4時間 |
可燃性ガスと酸素 | 3時間 | |
関係法令 | 1時間 | |
学科試験 | 1時間 | |
実技講習 | 5時間 | |
合計 | 14時間(2日間) |
- 溶接免許(ガス溶接作業主任者)の概要、取得方法、費用は?
【概要】
“アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断、加熱の作業”(労働安全衛生法に定める資格等一覧より引用)
【受験資格】
満18歳以上。
【どこで受ける?】
各地方の設置された安全衛生技術センター
【費用】
学科試験共通:6,800円
【科目内容】
項目 | 問題数 | 配点 |
ガス溶接等の業務に関する知識 | 5問 | 25点 |
関係法令 | 5問 | 25点 |
アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識 | 5問 | 25点 |
アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識 | 5問 | 25点 |
【試験時間】
13:30~16:30 3時間
科目免除者は
13:30~15:00 1時間30分
- 溶接免許(アーク溶接作業者)の概要、取得方法、費用は?
【概要】
アーク放電により金属同士を溶接する手法。アーク溶接には7種類ある。
ティグ溶接
ミグ溶接
マグ溶接
被覆アーク溶接
ホットジェット溶接
セルフシールドアーク溶接
トーチろう付
免許制ではなく特別教育修了者に与えられる資格であるため、講習を受講することで資格の取得が可能。ただし、講習の最後に修了試験が課せられます。
【受験資格】
満18歳以上
【どこで受ける?】
各地区溶接技術検定委員会もしくは各都道府県指定機関
【費用】
1万5千円前後。(不合格の場合は1年間再受講料免除)
というのも、講習を実施する団体により受講料が異なるから。各団体とその受講料は以下の通り。
公益社団法人東京労働基準連合会 | 15,420円 |
一般社団法人労働技能講習協会 | 12,330円 |
一般財団法人労働安全衛生管理協会 | 11,330円 |
【科目内容と時間】
学科講習 | 11時間(2日にわけて) |
実技講習 | 10時間(1日で) |
合計 | 21時間(3日間) |
【資格取得後】
アーク溶接も資格は細分化され、以下の九つに分かれます。
手溶接
半自動溶接
ステンレス鋼溶接
チタン溶接
プラスチック溶接
銀ろう付
すみ肉溶接
基礎杭溶接
石油工業溶接
これらは、アーク溶接作業者取得後に受験資格を得ることができます。ただし、細かい受験資格は以下のようになります。
資格の級別 | 受験資格 |
基本級 | 1ヵ月以上溶接技術を習得した15歳以上の者(注) |
専門級 | 3ヵ月以上溶接技術を習得した15歳以上の者で、 各専門級に対応する基本級の資格を所有する者。ただし、基本級の試験に合格することを前提として基本級の試験と専門級の試験を同時に受験することができる。 |
(注) ガス溶接受験者は、労働安全衛生法にもとづく「ガス溶接技能講習」修了者であること。また、アーク溶接については、労働安全衛生法にもとづく「アーク溶接等の特別教育」を修了していることが望ましい。
それらの学科試験では以下のことが問われます。
・溶接の一般知識
・溶接機の構造と操作
・鉄鋼材料と溶接材料
・溶接施工
・溶接部の試験と検査
・溶接作業での安全衛生
- 溶接の無資格の罰則・罰金
溶接に関する免許というものは知識と技術を有している証拠としての免許であるため、無免許で仕事をしても法的罰則はありません。ですが、発注された際の契約で資格者による溶接が求められている場合は契約違反に当たるため注意が必要です。
- まとめ
数多くの種類のある溶接の資格ですが、ガス溶接技能者の資格を取得してからステップアップしていき自分の扱うことの出来る範囲を広げていくのがよさそうですね。初球のものは合格率が100%ちかいので、受けて損はなさそうです。