採石現場で必要な資格とは?

採石の際に必要となる資格について解説する。掘削作業や爆破作業における必要資格、特に発破技師について解説する。

  • 採石現場での作業

採石とは、石材を取り出すことをいう。主に花崗岩や石灰石などの産出が行われる。セメントの原料となるセメント原料採取鉱山での作業などもある。

 

 採石は、まず表面や風化した岩石をはぎ取り硬い岩石を露出させて、その後発破することで行う。

 

岩石は採石場で採掘された後、所定の大きさに破砕される。この作業のことを砕石といい、同じ発音なので注意が必要だ。

  • 発破技師
    • 発破技師とは

 火薬類取締法に定める「火薬類取扱保安責任者」のもとで、土木工事や砕石現場で爆発物(ダイナマイトなど)を取り扱うことの出来る作業者。労働安全衛生法に規定された資格を有する必要がある。山を切り崩すときなどの発破業務全般を行う。主な業務は発破におけるせん孔、装填、結線、点火、残薬の点検、不発薬処理など。

 

・発破…岩石や山の一部を破壊するために火薬を用いて掘削すること。

・せん孔…岩石などに穴をあけること

 

安全性と作業の確実性、周辺への被害を最小限に抑えることが求められる。そのため、建物の立地状況や、岩石の固さなどさまざまな条件をもとに火薬を埋める場所や分量など、綿密な計画を練る必要がある。また、現場におけるリーダーシップや判断力、慎重さが強く求められる。

 

  • 火薬と爆薬

【火薬と爆薬の違い】

 火薬と爆薬という言葉はよく似ているが、実は火薬取締法によりその違いが定められている。

火薬 銃弾やロケットといった飛翔体の推進させるために利用される。
爆薬 破壊目的で利用される。

 

【火薬・爆薬の種類】

 

黒色火薬 硝酸カリウム、硫黄、木炭を混ぜたもの。

最も歴史の古い火薬の一つ。

主な用途は花火。

無煙火薬 煙の発生が少ない。

主な用途は銃弾の火薬。

ダイナマイト ニトログリセリンが主成分。

耐久性(劣化が少ない)、安全性に優れる。

工事現場でよく使用される。

TNT 2,4,6-トリニトロトルエンの略称。

毒性が低い。

 

 

 

  • 爆破解体

 発破技師資格を取得すると爆破解体を行うことができる。巨大な建設物を効率よく解体することができるが衝撃や騒音、破片の散布など周辺環境への悪影響が大きいため日本で行われることは稀。

 

  • 発破技師資格の取得方法

 【概要】

発破の業務(せん孔、装てん、結線、点火並びに不発の装薬又は残薬の点検及び処理)。免許制であり、発破技師試験に合格した後実務経験として発破の補助作業を6か月以上、もしくは発破実技講習を修了することで免許を取得することができる。

 【受験資格】

不要

 【試験内容】

 

内容 問題数 配点
発破の方法 10問 50点
火薬類の知識 5問 30点
火薬の取り扱い 5問 5点

合計2時間

総得点が60%以上、かつ各科目が40%以上の得点率合格。

【取得場所】

 各地方の取得センター

【価格】

 6,800円程度

【難易度】

 国家試験の中では優しめ。合格率は6~7割近い。実務経験者の受験者が多い。

 

木作業や採石現場。この資格がないと発破業務はできないため、月に数万円の資格手当を支給する企業もある。

 

  • 類似の資格

【火薬類取扱保安責任者】

  火薬類の取り扱い(製造・保管)に関する業務を行うことができる資格。労働安全衛生法により発破業務に従事できるため、発破技師と同様に扱われる資格である。

 

 この資格は甲乙の二段階のレベルに分類されている。

甲種 火薬庫(煙火火薬庫、がん具煙火貯蔵庫及び導火線庫を除く)の所有者又は占有者において年20t以上の爆薬、消費者において月1t以上の火薬又は爆薬
乙種 火薬庫(煙火火薬庫、がん具煙火貯蔵庫及び導火線庫を除く)の所有者又は占有者において年20t未満の爆薬、消費者において月25kg以上1t未満の火薬又は爆薬及び月1t未満の無添加可塑性爆薬

 

 

発破技師の資格取得後、爆破解体を行うことは少ないが砕石現場ではダイナマイトなどの爆薬を利用するため需要は一定程度ありそうだ。

 

  • 採石のための採掘作業主任者
  • 採石のための採掘作業主任者とは

掘削面の高さが2m以上となる採石法第2条に規定する岩石の採取のための掘削の作業を行う際に必要となる資格。また、その資格所有者のことで、採掘作業、安全対策、指導を行う

 

  • 資格の取得方法

【概要】

講習の受講により取得することができる。

【受講資格】

・大学、専門、高校で土木関係学科卒業後、2年以上の実務経験者

・職業能力開発促進訓練(石材科)を修了した者。

・実務経験、3年以上の者。

【受講内容】

受講科目 受講時間
岩石の種類、岩石の採取のための掘削の方法等に関する知識 6時間
設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 4時間
作業者に対する教育等に関する知識 1.5時間
関係法令 1.5時間
修了試験

 

【受講場所】

各都道府県労働局

一般社団法人 日本採石協会

【受講料】

10,000~18,000円

 

  • まとめ

日本では爆破解体業務を行う機会は非常に少ないが、セメントの原料となる資源の採掘はセメントの需要がなくならない限り続くだろう。日本のインフラを影で支える重要な業務だ。

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