建築現場の熱中症対策は大丈夫?現場での対策方法をご紹介します。

熱中症対策

今年も暑い日が続いていますが、みなさん体調は崩されていないでしょうか?信じられないほどの外気温の高さによって、熱中症で搬送される人も多いですね。そんな中、外で働く建築現場の皆さんは、どのように熱中症対策をしているのでしょうか?今回は、建築現場の熱中症対策についてお伝えしていこうと思います。

 

気温40℃の猛暑!

今年も信じられないような気温が更新されている猛暑、静岡県の浜松市では8月17日に41.1℃を記録しました。気象庁の気温統計というのは、明治時代から記録が始まっていて、その頃から現在までの記録が保管されています。その中でも歴代最高気温というのは、1933年7月の山形市における40.8℃でした。それが塗り替えられたのが、2007年8月の岐阜県多治見市の40.9℃。そこから近年記録が更新され、2018年の埼玉県熊谷市の41.1℃が国内最高気温となっています。これに並ぶ気温が今年も記録されたということなんですね。これを見ると、近年記録の更新が頻繁に起きているように思います。こんな気温の中、エアコンも使えない外での仕事に従事している人たちの労働環境は恐ろしい状態となっていますね。一体どのように対策をすればいいのでしょうか?

熱中症

熱中症はどんな症状?

熱中症というのは、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の温度調節機能がおかしくなったりすることで生じる障害のことを指します。原因とされるのが、高温多湿の環境での活動ということで、まさに猛暑日には気を付けなければなりません。さて、熱中症には具体的にどんな症状があるのでしょうか。

 

・めまい

・失神

・筋肉痛

・筋肉の硬直

・大量の発汗

・頭痛

・気分の不快

・吐き気

・嘔吐

・倦怠感

・虚脱感

・意識障害

・痙攣

・手足の運動障害

・高体温等

 

症状が多岐にわたることがわかりますね。家にいてもこうした症状が出て、実は軽い熱中症だったということもあり得るわけですから、年齢や性別に関係なく誰でも気を付けなければなりません。ちなみに初期症状としては、めまい・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・手足のしびれ・気分の不快などがありますので、こうした症状が見られた場合はすぐに対処しましょう。

 

建築現場での熱中症の実態

熱中症死傷者数

出典:平成29年3月 国語交通省大臣官房技術調査課「建設現場における熱中症対策事例集」

(https://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/290331jireisyuu.pdf)

こちらのグラフは、平成23~27年の5年間における、熱中症による死傷者数を業種別に表したものです。このグラフを見ると一目瞭然で、熱中症の死傷者数は圧倒的に建設業が多いことがわかります。同じように外で仕事をする農業や林業よりも遥かに多い数になっていますよね。これは、作業時間や時間帯も一つの要因になっています。特に建設業では長時間労働が多く労働時間が長い上、休憩する場所も車の中などと限られているため、熱中症を起こしやすいのです。こうした現場では、一体どのように熱中症対策を行っていけばよいのでしょうか。

 

建築現場の熱中症対策

外での作業が多い建築現場では、一体どのような熱中症対策が行われているのでしょうか。実際の事例を参考にご紹介していこうと思います。

 

<作業環境の把握>

まずは、その日の気温がどれほど上がるのかという基本的な情報を収集する必要があります。これは、ニュースなどでももちろんいいのですが、下記のようなサービスを利用するのがお勧めです。

 

・熱中症予防情報メールサービス

・熱中症予防アプリ

 

あるいは、熱中症計などの道具を用いて現場の暑さ指数を計測するのもよいです。思っている以上に手軽に、暑さ指数を計測することができますので、その数値を見てその日の対策をしていくと良いでしょう。

 

<暑さ指数を下げる方法>

暑さ指数を下げる取り組みが様々な現場で行われていますので、簡単にご紹介していきます。

 

・足場に遮光ネットを貼る。

・ドライミストを使う。ドライミストと合わせて扇風機を使用。

・現場に散水。

・送風機の設置。

 

現場のすべての箇所を涼しくすることは難しいですが、遮光ネットなどをうまくつかって閉所空間を作り出し、そこにドライミストや扇風機をうまく使うことで暑さ指数を下げるという取り組みです。

 

<休憩場所の整備>

休憩場所を確保できる場合は、その場所の整備も行われています。

 

・冷房やシャワーを用意し、涼しい環境を作る。

・冷蔵庫や製氷機などを置き、必要な飲料水を保管する。経口補水液なども準備しておくとよい。

 

こうした休憩場所を確保できる場合はいいのですが、多くの場合は、現場に休憩場所などありませんよね。このため、休憩用の車両を準備するという方法も取られています。これは普通の移動車両とは別で、休憩に特化したものと考えてください。車内に、冷蔵庫などを用意しているタイプです。

 

<作業時間の短縮>

あまりに暑い日は、作業時間そのものを見直さなければならない場合があります。例えば、気温が上がる時間帯(12~14時頃)の作業をせずに、出退勤の時刻を調整するなどするのも良いでしょう。あるいは、休憩時間を長くとったり、こまめに複数回とるなどして、通常の作業時よりも休憩をたくさん取るのもよいです。こういった暑い日は、通常時と同じスピードや量の作業を進めることは避け、余裕をもって工程を組むことが望ましいです。

 

<装具の改善>

ここ数年で、体感が涼しくなる作業服などが販売されるようになってきています。空調服などはとても売れていますね。こうしたものだけでなく、遮光に優れたベストやクーリングベルトなどもありますので、必要に応じてこうした装備を充実させていくとなお良いでしょう。

 

<水分補給>

水分補給は思っている以上に頻繁に行う必要があります。スポーツ飲料などが望ましいですが、水とタブレットなどもうまくつかっていくとよいでしょう。また、保冷剤なども現場に常備されているとなお良いですね。

 

<作業者の体調管理を徹底>

自分の身体ですので、基本的には自己管理になりますが、それでもこうした現場は何が起こるかわかりません。初期症状に気づかないまま、突然倒れてしまうこともあるでしょう。こうした時、適切に対処できるように熱中症に関する知識と対処方法は現場にいるすべての人が身に着けておくべきです。そして、現場の人間の体調管理を徹底し、複数の目で熱中症対策をしていくのが望ましいです。

安全衛生教育の一環として、熱中症に関する勉強をできる機会もありますので、しっかり利用していきたいですね。

 

熱中症は労災になる?

仕事中に発症した熱中症は、労働災害に認定されます。労働災害に認定された場合、治療費が無料となり休業補償を受けることができます。また、熱中症によって後遺症が残ってしまった時や死亡してしまった時には、障害補償や遺族補償も受けることができます。実は、このように熱中症が労働災害として認められることは広く知られていません。ですから、基本的な知識としてしっかり覚えておくようにしましょう。

 

<熱中症の労働災害認定基準とは>

労働基準法施行規則第35条別表1-2に

「暑熱な場所における業務による熱中症」という記載があり、法律によって熱中症が労災の対象になることが明記されています。きちんとした会社ならもちろん対応してくれるでしょうが、労災隠しなどが頻繁に行われている会社もあります。そういった場合は、労働基準監督署へ労災申請をすることで、権利を行使できます。基本的には、熱中症が起きた時の労働環境や状況と医師の判断を踏まえて、労災認定が進められていきます。

詳細については、専門家と相談しながら手続きを進めていくことをおすすめしますが、こうしたことが可能であるという基本的な知識は、いざ熱中症になってしまった時に自身を守ることになるでしょう。

 

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