建築物省エネ法の改正!4月から義務化される「省エネ性能の説明」とは?

  • 2021/1/5
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建築物省エネ法

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

2021年は建築物省エネ法の改正があるということで、そもそも建築物省エネ法って何?ということから、何が変わるのかということについて詳しくご紹介していこうと思います!

省エネ

建築物省エネ法って何?

<建築物省エネ法とは簡単に?>

正式名称は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」といって、平成27年に制定されました。簡単に言うと、エネルギー消費量を抑えるための法律です。一体どういうことなのでしょうか?

 

<日本が抱えるエネルギー問題>

日本は様々な面から見ても、エネルギー問題を抱えています。第一に、日本はエネルギー資源が不足していますよね。現代でのわたしたちの生活は膨大なエネルギー消費によって支えられています。ところが、日本はエネルギーを作り出すための石油や天然ガスなどを自国で確保することが難しい状況にあります。2017年の自給率は9.6%となっていて、例えばアメリカは92.6%なので、かなり差があることがわかりますよね。OECD諸国と比較すると、日本は自給率34位ですが、33位の韓国は16.9%なのでこの部分でもかなり違うことがわかります。このため、日本は諸外国からエネルギー資源を輸入しなければなりませんが、国際情勢によってはそれが途絶えてしまうこともあるのです。さらに、問題が深刻化するきっかけとなったのが東日本大震災です。あの大きな地震による影響は、被災地に甚大な被害をもたらし、多くの人の命を奪っただけには留まりません。東日本大震災によって、原子力発電所が停止しましたね。つまり電力が足りないわけです。そこでどうしたかと言うと、火力発電に頼ったわけです。これによって、化石燃料の消費が増えますよね。東日本大震災が起きたのは2011年で、10年目を迎えますが未だにこの問題は続いています。まとめると、日本は原子力発電以外の方法での発電に依存していますが、これによって消費するエネルギー資源が化石燃料に偏っているわけです。これは自給することができないので、他国からの輸入に頼るしかありませんが、輸入先の中東はいつも不安定な情勢なので、安定した供給がずっと続くとは限らないという問題があるのです。

 

<パリ協定の数値目標との関連>

そんな中で、昔と比べると家庭でのエネルギー消費量が増えているのは誰にでも想像できますよね。エネルギー消費量を減らさなければならない理由は他にもあります。それが、パリ協定です。パリ協定というのは、世界各国が2020年以降の気候変動問題に対してどう具体的に行動していくかを示したもので、2015年にパリで開かれた「国連機構変動枠組み条約締約国会議」の中で合意されています。日本もこのパリ協定に合意しているわけですが、この協定の中で「2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度の水中から26%削減させる」という数値目標があるのです。26%って結構な数字じゃないですか?あと10年しかないですが、大丈夫なのでしょうか?この数値を達成するために、色々頑張っていて、産業部門と運輸部門ではエネルギー消費量を少しずつ減少することに成功しているのですが、業務・家庭部門でのエネルギー消費量は増えています。この部門は、基本的に建築物で消費されるエネルギーが大部分を占めます。しかも、これがエネルギー消費量全体の3分の1を占めているのですから、この部分の削減が急務であることはわかりますね。長くなりましたが、エネルギー問題とパリ協定によって合意した数値目標があるから、建築物省エネ法が制定されたのです。

エコ

建築物省エネ法の内容は?

さて、建築物省エネ法では一体何が定められているでしょうか。まず、この法律は2つの措置で構成されています。

 

①大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務等の規制措置

②省エネ基準に適合している旨の表示制度および誘導基準に適合した建築物の容積率特例の誘導措置

 

字面だけ見ると、なんのこっちゃという感じですよね。規制措置というのは「義務」、誘導措置というのは「任意」であるということを押さえておいてください。要するに、今後新しい建物を立てたり、増改築したりする場合に義務として行わなければならないことが規制措置で、任意でやってくださいねというのが誘導措置になります。

 

規制措置の内容

規制措置の具体的な内容は以下の3点です。

 

・省エネ基準適合義務、適合性判定義務

・届出

・住宅トップランナー制度

 

省エネ基準適合義務、適合性判定義務というのは、対象が非住宅の「2000㎡以上」規模になります。対象となる規模の建築物を新築する時などに、省エネ基準を満たし、かつそれを判定するという義務があります。

届出の義務というのは、対象が住宅・非住宅のどちらもあって、規模が「300㎡以上」となります。対象となる建築物を新築・増改築する際に、それに関する計画を所管行政庁へ届ける義務があります。

住宅トップランナー制度というのは、事業者に対して省エネ性能向上を促す措置となります。要するに、省エネ基準を満たした建築物を増やすために、建築物を提供する事業者に対して義務を負わせるというものです。対象となる事業者については、今回の改正に伴って拡大されているので、後ほどご紹介します。具体的に言うと、新しく住宅を建てる事情者に対して、「トップランナー基準」と照らし合わせた時に、必要がある時には国土交通大臣が省エネ性能の向上を勧告することができるというものです。この勧告に従わなかった場合、その事業者を公表することができるという仕組みになっています。改正前の現段階では、一次エネルギー消費量が省エネ基準の0.9倍となるようにというのが基準となっています。事業者は、省エネ基準を満たした建築物を増やさないと、晒される!という状況になっているわけです。この部分は、今回の改正に大きく関わってくる部分なので、この後詳しく触れていきましょう。

 

誘導措置の内容

誘導措置の内容は以下の2点です。

 

・性能向上計画認定、容積率特例

・省エネに関する表示制度

 

誘導措置の対象は、規模に関わらずすべての建築物となります。また、新築や増改築だけでなく、修繕・模様替え・設備設置、改修など、多岐にわたります。

まず、性能向上計画認定とは、その建築物「誘導基準」を満たしているかどうかを認定するというものです。要するに、新築で建てたり改築したりした時に、その性能が基準を満たしているのかどうかを審査してもらえますよ、ということです。これは、任意なのでやってもやらなくても大丈夫です。もしも、この審査を行って省エネ機銃を大幅に超えるということがわかった時には、認定を受けると共に「容積率特例」を受けることができます。この特例を受けると、省エネ性能向上のために設置されている設備が通常の建築物の床面積を超える場合は、延べ面積の10%を上限に、不算入にすることができるというものです。この設備というのは例えば、太陽光発電設備・燃料電池設備・コージェネレーション設備・蓄熱設備・蓄電池・全熱交換機などがありますね。

表示制度は、国が定める基準をきちんと満たしているか、それ以上の建築物であることをアピールする一つの指標となります。

 

建築物省エネ法改正で何が変わるの?

いよいよ本題に入っていきます。ここまでが長かったですね。

まず、2021年4月から改正建築物省エネ法が施行されます。この時何が変わるのかということを簡単にご紹介していきます。

 

・非住宅建築物の省エネ適合判定や完了検査で、省エネ基準を満たしているかどうかを審査する「適合義務」の対象が拡大。中規模(300㎡以上2000㎡未満)の建築物も対象に!そして、小規模(300㎡未満)の建築物には、説明義務が付与されます。

(改正前:大規模(2000㎡以上)のみが対象で、中規模は届出義務のみだった。)

 

・住宅(大規模・中規模)は届出義務のみでしたが、これまで以上に手続きを合理化し、指示・命令等を実施していくようになります。小規模住宅には説明義務が付与されます。

 

・住宅トップランナー制度では、対象の事業者が拡大されます。元々は、大手住宅事業者を対象にしていましたが、対象者の拡大によって幅が広がります。注文戸建て住宅の場合は年間300戸以上、賃貸アパートの場合は年間1000戸以上を供給する事業者です。

また、これまでは建売住宅だけを対象としていましたが、改正によって注文住宅と賃貸アパートも含まれるようになります。

 

この3点が現行と大きく変わる点です。

 

説明義務による建築士の仕事

さて、改正後は小規模住宅の建築において、説明義務が付与されるようになります。何を説明するのかというと、下記の2点です。

 

・省エネ基準を満たしているかどうか。

・省エネ基準を満たしていない場合は、省エネ性能を確保するための措置について。

 

これは書面にて説明となり、さらにその書面を保存する必要がありますので、建築士としては仕事が一つ増えるということになりますね。とは言え、適合義務はまだありませんので、適合していなくてもいいわけです。ただ、省エネ基準を満たしていませんよ!満たすためにはこれだけの設備が必要で、いくらかかりますよ!という説明は、お客様に対して胸を張ってし辛いですよね。そうするとどうなるかというと、あらかじめきちんと基準を満たすようなご提案をさせていただくのがスタンダードになるかと思います。このように制度を作ることによって、まんまと省エネ基準を満たした住宅を増やしていくことができるというわけです。なかなかあざといですよね。

 

まとめ

建築物省エネ法改正によって、国内での省エネ住宅の普及はますます進んでいくでしょう。それに伴って、建築士としての仕事が増えるのは少し大変かもしれませんが、今後を見据えていくととても大切な仕事となります。人間にとって、安定した住環境というのは必要不可欠ですが、省エネルギー化できるならお客様にも大きなメリットとなりますね。

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