建築物の意匠権ってなに?意匠登録についてご説明します!
以前、コロナ禍における建築技術による感染症対策の記事の中で、病院が「意匠登録」されたという話をしました。建築物の意匠登録というのは、実はかなり最近になってできるようになったということをみなさんはご存じでしょうか?今回は、意匠登録についてと建築物の意匠権についてご説明していきます。
意匠登録とは
目次
そもそも「意匠」というのは、製品などの外観やデザインのことを指します。意匠登録というのは、意匠における特許のことで、要するに製品のデザインを登録することで、その権利を独占することができるというものなのです。最近では、商品の差別化を図るために、商品のデザインに力を入れる会社が多くなってきています。しかし、これは通常、すぐに模倣品や類似品の流通にもつながってきます。良い物ほど、そういった商品に浸食されていきますよね。そこで、意匠登録を行って、デザインを保護することで、自社の商品をしっかり守ることができるのです。
意匠登録をすることのメリット
意匠登録をするというのは、要するに特許を取るということですから、類似品の販売を中止させたり損害賠償を請求したりすることができるようになるわけです。意匠登録によって守られる権利のことを、「意匠権」といいます。この権利を行使することで、デザインを保護することができるのです。
意匠権の期間
意匠権は永年続くわけではありません。登録から20年でその効力は失われます。さらに、毎年登録料を納める必要があるのです。
建築物の意匠権
実は、令和元年に意匠法が改正されました。これによって、令和2年の4月から「建築物の外観デザイン」も意匠権で保護できるようになったのです。さらに、建築物の外観だけではなく、内装(家具や製品の配置なども含めて)デザインも、意匠権で保護することできるようになりました。こうなってくると、意匠登録された建築物は「パクる」ことができなくなるのです。
ちなみに、既に何件かの建築物が意匠登録されています。
出典:経済産業省公式サイト
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201102003/20201102003.html
例えば、こちらの画像は株式会社ファーストリテイリングによって意匠登録された建築物の意匠です。確かに独創的なデザインですよね。このようにして、独自のデザインを保護することができるのが、この意匠登録なのです。
意匠登録の流れ
さて、意匠登録とは一体どのように行っていくのでしょうか?
意匠登録には、「意匠登録願」の作成と提出が必要になります。特許庁に提出する方法とインターネットで提出する方法がありますので、遠隔地でも申請が可能です。
<特許庁へ提出する場合>
①書類をダウンロードし、説明を読みながら必要事項を記入していきます。
こちらのリンクからダウンロードできます
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html?event=FE0006
こちらのリンクで意匠登録の出願書類の書き方が掲載されています
https://www.inpit.go.jp/blob/archives/pdf/design.pdf
②特許印紙を購入して指定の場所に貼り付ける。
③特許庁へ提出する。
- 窓口へ持参
特許庁1階の出願受付窓口へ提出する。
(受付時間)9時から17時まで(平日)
(土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から翌年の1月3日まで)は、閉庁)
- 郵送で提出
〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 特許庁長官 宛 に郵送する。
※宛名面(表面)余白に「意匠登録願 在中」と記載して、書留・簡易書留郵便・特定記録郵便で提出する。
④電子化手数料を納付する。
書面で提出した場合、出願日から数週間後に送付される払込用紙を用いて、
電子化手数料として1,200円+(700円×書面のページ数)を納付する。
<インターネットで提出する場合>
こちらのサイトを利用して申請します。
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/1_start/index.html
必ずしも申請が通るわけではない!
意匠登録を申請したからと言って、必ずしも意匠権を獲得できるわけではありません。場合によっては、「拒絶理由通知」というものが届いて、登録できない場合があります。ただし、ここで諦めてしまわないように気を付けてください。書類の不備を直したり、理由に添って訂正したりすることで、解消することができる場合があります。
意匠登録にはお金がかかる!
まず、出願の段階で16000円の費用がかかります。ここから、手続きを経て無事に意匠登録がされると登録料を支払うことになります。これが、実は年数によって金額が変わるのです。
・ 1~3年・・・8500円/年間
・4~25年・・・16900円/年間
このようになっています。4年目以降は登録料が高くなることがわかりますね。
まとめ
建築物の意匠権が認められるようになったおかげで、建築物のデザインが保護されるようになりました。これを利用して、しっかりと自社の利益を確保するのも良いですし、利用料を請求してデザインを貸し出すということもできるようになります。意匠法の改正によって、建築業界にまた新たな風が吹き込みましたね!