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以前も触れたのですが、実は土木作業員の残業時間というのは、他の職種に比べても長いということがわかっています。仕事内容がハードなのにも関わらず、残業時間が多いのはなぜか、そしてその働き方は改善されていくのかということについて迫っていこうと思います。
残業が多くなるのはなぜ?
これは、残業する回数が多いというよりは、残業する場合長時間にのぼってしまうということの方が多いと考えてください。では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか?原因の一つとして考えられるのは、工期の問題です。恐らく、序盤は予定通りの作業で残業もなく進むケースが多いのですが、予期せ宇の悪天候などによって、予定通り作業が進まなくなった時に、そういった長時間の残業が起こりがちです。場合によっては、管理者のスケジュール管理が悪いこともありますが、そもそも無理な工期で発注してくる場合や、やむを得ない自然現象による工期の遅れなど、外部の影響を受けやすいのが土木現場の実態なのです。
残業は何時間まで?
さて、ここで問題となってくるのは、労働時間です。工事が終わらないからと言って、たくさん残業しているけど、本来一体どれくらいの残業なら許されるのか。その辺の基本的な知識についてご説明しておきます。
<労働基準法による規定>
これは、みなさん良くご存じかと思いますが、基本的に日本では公務員以外の労働者には、労働基準法が適用されることになっています。したがって、原則として
「1日8時間、週40時間」
これを超えて働かせることはできないことになっています。ところが、そんな時間で終わる仕事の方が少ないのでは?と思いますよね。このため、企業はこの時間を超えたら「残業代」を支払わなければならないという決まりがあるのです。残業代を払えばいくらでも働かせていいわけではありません。残業は、
「月45時間、年360時間」
という上限が設けられています。実はこれ、最近改正されたもので、大企業は2019年の4月から、中小企業は2020年の4月から適用されています。また、厳密に言うと手続きを踏めば、上記の時間を超えて働かせることはできるのですが、基本的には上記の時間で決まっているということを覚えておいてください。
<工期が迫っている場合はどうするか>
さて、ここで困るのが現場監督でしょう。特に、思わぬ自然現象などによる工期の遅れは、どうやって取り戻せばいいのでしょうか。工期が延びれば、かかる費用も増えますので先方にも負担がかかりますから、簡単に延ばせるものではありません。
先ほども申し上げましたが、ある手続きを踏むと上限を超えて従業員を働かせることができます。それが、「36協定届」を労働基準監督署に提出するということです。これは、下記の場合届け出を出すことで一時的に残業の上限を引き上げることができるというものです。
「臨時的に特別な事情があり、かつ双方の合意がある場合、年720時間(=月平均60時間)」
これは、いわゆる「特別条項付き36協定」と呼ばれるものです。特に土木や建築業界では、先ほどから申し上げているように、工期の問題があって労働基準法の原則を守れない可能性があります。届け出を出すことによって、正しく残業を行うことができるのです。ただし、これに関しても上限が設けられています。それが下記です。
「年720時間以内を前提に、複数月の平均が月80時間(休日労働含む)以内、単月なら月100時間未満(休日労働含む)」
届け出を出せば無制限に残業させられるわけではなく、年に6回まで月45時間を超えて申請することができます。
そもそも36協定とは
さて、さらっと出てきていますが「36協定」というのは、サブロク協定と言って労働者の権利を守るための協定です。労働基準法の範囲を超えて、労働者を働かせなければならない時は、雇用者と労働者の間で「36協定」を締結しなければなりません。逆に考えると、「36協定」を締結していない場合は、企業側は労働者を残業させることはできないことになっています。こうしたきまりに違反すると、下記のような罰則をうけることになります。
「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」
さて、みなさんが働いているところはどうでしょうか?
こんな時は気を付けて!
未だに、タイムカードすらない!という事業所はあります。これはかなり問題ですが、一従業員がこれを是正するというのはなかなか大変なこともあり、変わらない現状もあります。そういう時は、自分できちんと記録をつけていくようにしましょう。もしも、著しい長時間労働を強いられていることがあれば、しっかり証拠として記録を残しておき、必要な時に然るべき場所へ提出することで、支払われていない分の残業代を支払わせることや、事業所の体質改善を促すことが可能となります。
まとめ
今回は、土木・建築現場での残業についてご説明しました。働き方改革は始まったばかりですが、最初が肝心です。気持ちよく、健康的に働くためにも、こうした知識はきちんと身に着けておくことをおススメします。