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原則義務化されるフルハーネス型安全帯で作業の安全を守ろう
原則義務化されるフルハーネス型安全帯で作業の安全を守ろう
■フルハーネス型安全帯が原則義務化される
厚生労働省は高所作業で着用するフルハーネス型ではない現行の構造規格の安全帯着用と販売を2022年1月から全面的に禁止すると発表しました。
その代わりとして、新たに高さ6.75m以上の場所で作業する場合、および建設現場では高さ5m以上の場所で作業をする場合には、体の複数箇所を支えるフルハーネス型安全帯の着用を例外なく義務付けることにしました。
つまり、一定の高さ以上ではフルハーネス型安全帯が原則義務化されることになります。
新ルールを定めた政令と省令・告示は2019年2月1日に施行され、適用開始されましたが、移行期間が設けられています。
現行規格の安全帯については、経過措置として2022年1月1日までの着用と使用が認められますが、2022年1月2日以降は全面的に禁止されるので、どんなに遅くとも年明けの仕事始めには間に合うように準備しなくてはなりません。
それまでの段階で早めに移行を行い、作業現場と作業従事者の安全確保に努めることが求められます。
なお、現行の規格品の製造については、経過措置として2019年7月末まで製造を認められますが、2019年8月以降は全面的に禁止されるので、現段階では既に旧型の安全帯を製造することはできないということになっています。
現在最も普及している胴ベルト型の着用は安全機能の強化を前提に、高さが低い場所での作業にのみ使えるということになりました。
現在では日本より先行して、多くの国々で胴ベルト型安全帯からフルハーネス型安全帯への移行や使用義務化が進められており、日本でも安全強化に乗り出した形です。
■フルハーネス型安全帯とは
フルハーネス型安全帯は肩や胸、腿など体の複数箇所をサポートする複数のベルトで構成された構造です。
複数固定をすることで、体が安全帯からすり抜けてしまうリスクを避けられるとともに、従来の胴ベルト型のように胸部と腹部を過大に圧迫する負担を抑えることができます。
つまり、快適な拘束状態で安全に作業できる仕組みとなっているのです。
フルハーネス型安全帯は、宙つり状態でも体の重心にあたる腰部付近よりも、頭部側に維持できるため、逆さま姿勢になってしまうリスクも防げます。
万が一の墜落時に備え、衝撃荷重を大幅に低減する機能を持つショックアブソーバーという付属品も、フルハーネス型安全帯に付けられています。
ショックアブソーバー機能を備えていないランヤードに比べると、ランヤードが切断されるリスクを抑えることが可能です。
■胴ベルト型安全帯との違い
従来の定番品であった胴ベルト型安全帯は、わずか1本のベルトを胴回りに巻きつけて体を拘束する設計です。
これに対してフルハーネス型安全帯は、万が一の墜落した際にも体が安全帯から抜け出してしまわないように複数のベルトで構成され、墜落を阻止するような設計となっています。
この点、従来の胴ベルト型安全帯においては、墜落阻止時に衝撃荷重によって胴ベルトが伸びて緩みが生じ、胴ベルトがずり上がってしまうことで胸部や腹部への圧迫されるトラブルが生じています。
この圧迫で死亡する事例も、日本国内で複数生じているのが現実です。
圧迫事故だけでなく、すり抜けによる地面への落下の危険性も高まり、これによる死傷事故のリスクも高まるのが懸念材料でした。
さらに胴ベルト型安全帯では、墜落阻止時に体がくの字となってしまい、腹部などへの圧迫が大きくなるだけでなく、つり元であるD環の位置が体の重心よりも下になってしまい、体が逆さま状態となったまま吊り下がってしまうリスクもあります。
長時間、宙づりになれば、頭に血が上り、気分が悪くなる場合や意識を失う危険もあり、大きな死傷事故につながるおそれがありました。
こうしたトラブルを避け、安全に作業するためにも、フルハーネス型安全帯の使用が原則義務化されました。