低圧と高圧ってなにがちがうの?電気の取扱業務には特別な資格が必要!【低圧電気取扱篇】

電気を取扱う特別な資格とは
目次
労働災害による死亡者数は、減少傾向にあります。業種別にみると、労働災害の死亡者数で最も多いのはやはり建設業で、それだけ危険な業務がともなうことが数字からも見てわかります。このため、特別教育や安全衛生教育を充実させていますし、折に触れて当サイトでもご紹介させていただいています。さて、厚労省による「労働災害統計」では平成30年に起きた感電による死亡事故は13件にのぼります。これは、電気そのものを取扱う業種に限った事故だけではなく、電気工具の不適切な使用による感電なども含まれますし、死亡事故のみの数字となります。実際に電気を扱う仕事における労働災害の数字ではありませんが、こうした事故を減らすためにやはり、電気を取扱う仕事には特別な資格が必要です。今回は、その資格とその資格を生かせる仕事について紹介していきます。
労働者が感電する恐れのある業務とは
労働者が感電する恐れのある業務について、従事者に対して特別教育を受けさせる義務が事業者にはあります。例えば低圧電気関連の業務に関しては、
・充電電路の敷設若しくは修理の業務
・充電部分が露出している開閉器の操作の業務
これに該当する場合、この業務に従事すると感電の恐れがあると事業者が判断した場合は特別教育の修了が必要となります。
電気の取扱いに関係する特別教育の種類
電気の取扱いに関係する特別教育は二種類あります。
・電気取扱業務に係る特別教育(高圧または特別高圧)
・低圧の充電電路の敷設等の業務に係る特別教育
これらの特別教育を修了した者は、電気取扱者として該当の業務に従事することができます。電気工事士という資格の方が知名度がありますよね。これは、管轄が違って経産省の管理下にある資格になります。労働安全衛生法に関係する法令の下では、第一種電気工事士免状又は第二種電気工事士免状を取得していても、労働災害防止に関する事項が満たされていないため、特別教育を別途受講する必要がある場合があります。つまり、電気工事士の資格がこの特別教育の受講の免除条項にはならないということです。
低圧と高圧のちがいって?
さて、上記では二種類の電気の取扱いに関係する特別教育についてふれましたが、電気取扱い業務には低圧と高圧という種類があります。これは、電圧による区分のちがいです。
特別高圧…交流、直流ともに7000Vを超えるもの。
高 圧…交流では600Vを超え7000V以下。直流では750Vを超え70000以下。
低 圧…交流では600V以下。直流では750V以下。
このように区分されます。今回は、低圧電気に焦点をあてて、この資格を持っていることで従事できる業務について、具体的な例を見ていきましょう。
低圧電気取扱の資格を生かせる業務とは!
低圧電気の場合は、家庭や職場の電気工事に際して感電の恐れがあるような業務や操作を行うことができるようになります。直接電気に関わる仕事としては、やはり電気工事士ですね。この電気工事士として、低圧電気取扱の業務のために特別教育を受講する場合は非常に多いです。
かつては、自動車整備士でもこの特別教育を受講する場合がありました。これは、電気自動車の点検や整備に際して、感電の危険があるためです。ですが、ハイブリッド車に関する特別教育が新設されたので、この特別教育でハイブリッド車を整備点検することはできなくなりました。詳しくは、こちらの記事に紹介してありますので、興味がある方は読んでみてくださいね!
ちなみに具体的な業務としては下記のようなものが挙げられます。
・ブレーカーやスイッチのオン/オフ
・コードリールやドリルのコンセントの抜き差しや清掃
・発電機や溶接機へのケーブルの接続
・投光器の電球や蛍光灯やLED電球の交換
・水中ポンプの設置、撤去
・配線コードやキャブタイヤケーブルの損傷修理
・低圧で使用する電力メーターなどのヒューズ取り換え作業
・電柱や腕金などの切り回し作業
・低圧で使用する蓄電池などのねじ止め作業
・インターホンなどの小型変圧器の二次側の配線作業
電気工事関係だけでなく、建築関係の従事者にとっては日常的な業務の中でもよく取扱うAC100V電圧も対象となるため、これらを扱う業務に従事する場合は特別教育の修了が必要である場合があります。
低圧の充電電路の敷設等の業務に係る特別教育
<学科>
・低圧の電気に関する基礎知識(1時間)
・低圧の電気設備に関する基礎知識(2時間)
・低圧用の安全作業用具に関する基礎知識(1時間)
・低圧の活線作業及び活線接近作業の方法(2時間)
・関係法令(1時間)
<実技>
・低圧の活線作業及び活線接近作業の方法(7時間)
学科7時間、実技7時間の計14時間程度の講習となります。実技の割合が他の特別教育よりも多い印象ですね。ちなみに費用は1万円前後です。ご自身の安全と、専門的な知識の定着のためにもぜひ受けておきたい講習ですね。