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フルハーネス特別教育を受けるには
フルハーネス特別教育ってなに?
前回、フルハーネス墜落制止用器具の義務化について触れました。これにともなって、フルハーネス特別教育が実施されるようになっています。これは、簡単に言うとフルハーネス墜落制止用器具の正しい使用方法を作業者に理解してもらい、安全性を高めていくという目的を持った取り組みです。前回も触れたように、日本では諸外国に比べてフルハーネス墜落制止用器具の着用率が低かったため、義務化にともなってこのように使い方やガイドラインなどをレクチャーする機会を設けているのです。
特別教育の一部義務化
実は、2019年2月1日より施行された安全衛生規則等の改正によって、ある条件に該当する作業を行う作業員(フルハーネス墜落制止用器具を着用の場合)は、フルハーネス特別教育の修了を義務付けられています。
ある条件というのは、
「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いておこなう作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く。)」
というものです。これに該当する場合は、講習の受講と終了が義務化されたのです。
特別教育の内容
受講内容は、学科が4.5時間と実技1.5時間になっています。
<学科>
・作業に関する知識
・墜落制止用器具(フルハーネス型のもの限定)に関する知識
・労働災害の防止に関する知識
・関係法令
<実技>
・墜落制止用器具の使用方法等
内訳はこのようになっており、実技では器具の装着方法だけでなく点検や整備の方法なども学ぶことになっています。ただし、受講科目が一部免除できる場合があるので、次の項目で確認しておきましょう。
受講科目が一部免除される場合
① 2メートル以上の高所で作業床の設置が困難な場所にて、フルハーネス型の墜落制止用器具を着用して作業を行うという条件で6ヶ月以上の従事経験があれば受講科目が3つ免除されます。ただし、2019年1月31日までの間に6ヶ月以上従事している必要があります。以下、免除される3つの科目です。
・作業に関する知識
・墜落制止用器具に関する知識
・墜落制止用器具の使用方法等
② ①と同じ条件でフルハーネス型ではなく銅ベルト型を着用していた、という人も1科目免除されます。
・作業に関する知識
③ 足場の組立て等特別教育受講者、ロープ高所作業特別教育受講者に関しては以下の1科目の免除が可能です。
・労働災害の防止に関する知識。
①~③それぞれに該当する場合か、もしくは①+③・②+③など重複して該当する場合は上記の科目を免除することができます。講習場所によって対応が異なりますが、免除を受ける場合には実務経験証明書が必要になることがあるので、講習場所の説明をしっかり確認しておきましょう。
講習会場について
建設業関連の一般社団法人や財団法人などが主催して、全国各地で開催されています。インターネットで講習日程が掲載されている場合が多いので、確認してから申し込みをすると良いでしょう。フルハーネス特別教育は、フル科目を受講した場合でも6時間程度となっています。すべての科目が終了した時点で修了証をもらえるところが多いようですね。受講にはテキストが必要ですが、基本的にはテキスト代と受講代を合わせているところが多いです。1万円程度かかる見込みでいるとよいでしょう。
WEBでも受講が可能!
開催地が近くにない場合、出張開講してくれる団体もあるのようですが、自宅で修了証をもらうことができるWEB講座もいくつかあるようです。パソコンだけでなく、スマホからも受講できる場合もあるようです。ただし、学科のみの受講しかできない場合もありますので、しっかり調べてから申し込みを行いましょう。
注意!修了していないと作業できない!
ここまでフルハーネス特別教育について見ていきましたが、一番大切なことは2019年2月1日以降に関しては、特別教育を修了していなければフルハーネス型を装着して作業することができないということです。もしも、特別教育を修了していない者を作業させた場合は、労働安全衛生法違反となり「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則を受けることになりますので、作業所の管理職は気をつけなければなりません。
助成金制度の利用が可能な場合がある
建設業に携わる中小企業の事業主が、従業員に特別教育を受けさせる場合には「建設事業主などに対する助成金制度」を利用することができます。大まかな条件として、
・建設業であること。
・雇用保険の保険料率が12/1,000であること。
・資本金額もしくは出資総額が3億円以下または常時雇用する労働者数が300人以下の建設事業主であること。
・受講者が雇用保険の被保険者であること。
これらに全て当てはまる事業主は助成金を利用することができます。フルハーネス特別教育もこの助成金制度に該当する特別教育であり、経費助成と賃金助成両方が適用されます。まずは、受給資格があるかどうか調べた上で申し込みを行いましょう。
フルハーネス特別教育の受講について触れていきました。前回も書きましたが、自分や従業員の安全を確保するためにも、また安全に対する理解を深めるためにも、しっかり受講して安全性を高めていきたいですね!