ドローンって一体なんなの?操作に関わる資格ってどんなもの?
前回の記事で、測量に関わるドローンの活躍についてお伝えしましたが、ドローンの活躍の場所は測量に限ったものではありません。ありとあらゆる場面で活躍するドローンは、技術の進化と共にどんどん人々にとって身近で、使いやすいものへとなってきています。それでも、その細かい操作の際にはある程度練習が必要となってきますよね。そこで、最近では専門のスクールが開校や、民間資格が開設されるなど、その周辺環境も整ってきています。そこで今回は、ドローンに関する資格について詳しくご説明していきたいと思います。
そもそもドローンってなに?
目次
そういえば、ドローンと聞くと、「あのラジコンみたいなやつね!」と想像はつくと思うのですが、そもそもドローンがどういうものを指すのかについては触れていませんでしたね。遅ればせながら、ここでドローンについて触れておこうと思います。
ドローンというのは、Droneというのが正しい表記で、日本語で訳すと自律型無人機となります。なぜ、ドローンと呼ばれるようになったかと言いますと、実はこれ第二次世界大戦まで歴史をさかのぼることになるんです。当時、アメリカ陸軍が使っていた標的機のことを、ターゲット・ドローンと呼んでいたことが由来だそうです。標的機というのは、射撃訓練の際に狙う的のことです。この的は、想像するような形ではなくて飛行機のラジコンのようなものを想像してもらうとわかりやすいと思います。止まっている物を射撃したってしょうがないですから、動くものを撃って訓練していたんですよね。ドローンというのは、その単語自体は「オス蜂」のことを示すのですが、当時の対戦国であったイギリスの飛行機が「女王蜂」という名前だったんです。それで、アメリカ陸軍の射撃訓練の的の名前が、「ターゲット・ドローン」ということになったんですね。奥が深い…。
さて、このドローンが元々は人の手によって操作されていたのですが、技術の進歩によって自動飛行ができるようになりました。本来軍用なので、当然最初は偵察機として利用されていました。これが、1990年代のことです。そこから、さらに時代は流れ、2010年代に入るとドローンが商用化されるようになります。きっかけは、フランスのParrot社という会社がスマホで操作できるドローンを発売したことです。これで、一気にドローンの知名度は上がっていきました。スマホなら一般人でも操作できますもんね。
こうして、ドローンは様々な方面で活躍し、これからもどんどんその場面を増やしていくであろう、非常に重要なアイテムなのです。
ドローンに関わる資格って?
現在、国内で取得できるドローン資格は
・DJI JAPAN株式会社
・一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)
・一般社団法人 日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)
・ドローン検定協会株式会社
これらの団体によって、発行されている資格が一般的です。実はこれ以外にもあるのですが、実用的でないものになるので、今回はドローンを仕事に生かすという観点で上記の4つの団体が発行するドローン資格についてご紹介していきたいと思います。
DJIスペシャリスト(DJI JAPAN株式会社)
ドローンを作っている会社のDJIは、その業界で世界最大手だとされています。これの日本法人が発行するドローン技術の認定資格は、非常に受講者数も多く、費用もそこまで高くないのが魅力です。その内容を見ていきましょう。
<受講対象>
ドローンの操作に関して、10時間以上の経験がある操縦者。
<講習内容>
学科
第1章 操縦者の行動規範
第2章 安全基準
第3章 禁止事項
第4章 マルチコプターの概論
第5章 電波について
第6章 気象について
第7章 飛行について
第8章 DJI製品について
第9章 法律について
講習修了後、認定テストに合格することで、同団体から認定証が発行されます。
<試験内容>
筆記
①飛行計画レポート作成:50点満点
②飛行技能テスト:50点満点
③最終オンラインテスト(選択問題):100点満点
①、②テストに合格した場合のみ、最終オンラインテストを受験できます。
<費用>
公式HPでは、2日日程で11万円となっています。
認定証発行に別途15000円程度かかることが予想されています。
<公式HP>
今回ご紹介した、DJIスペシャリストはドローン操縦における上級者としての証ということになっています。この他にも、初心者から中級者向けの講習などが同団体で開催されていますので、上記公式HPを是非一度ご覧になってみてください。ちなみに、インストラクター向けのプログラムも用意されていますよ!
ドローン操縦士回転翼3級(一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA))
通称ディーパと呼ばれる、ドローン操縦士協会が発行している資格です。ちなみに、3級という表記になっていますが、1級や2級はまだ存在しません。今後、レベルに応じて1級・2級も開設されるのではないかと言われています。この資格は、学科・実技試験に合格することで取得が可能となります。DPA資格認定校でドローンの専門知識を学ぶことで、資格取得要件を満たすことができます。この後、学科・実技試験に合格、さらにeラーニング受講と、登録作業を経ることで、認定証が授与されます。
<受講対象>
・15歳以上。
・視力が両眼で0.7以上且つ片目0.3以上であること(矯正可)
・赤色、青色及び黄色の識別ができること
・10時間以上の飛行経験を有すること
・実用知識(学科)・技能(実技)試験に合格していること
・オンライン講座「安全運航管理基礎講座」を受講・修了していること
<講習内容>
・小型無人航空機を安全に飛行させるために必要な基礎知識
・小型無人航空機を安全に操縦する基本技能
<試験内容>
不明
<費用>
受講料:20万円
認定証発行料など:3万円
更新料(2年ごと):6千円
<公式HP>
先程と比べると、資格取得までに非常に費用がかかるのが特徴ですが、ドローンに関する専門知識・技能においてかなりレベルの高い講習を受けられることがメリットでもあります。この記事の中でご紹介する資格の中では、もっともレベルの高い内容を勉強できると思っていただけると、この金額にも納得いただけるかもしれません。この資格の他に、インストラクター資格が用意されています。
無人航空機操作技能証明(一般社団法人 日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA))
JUIDA主催のドローン操縦に関する専門的な知識と技能を身に付けている証明ができる資格です。JUIDAの認定スクールで必要科目を修了した後、申請手続きを経ることで発行されます。ちなみに、この資格の保有者は2020年3月時点で11209人にものぼっています。この資格を持っていると、航空局の無人飛行機飛行申請手続きに必要な一部の書式の提出が免除されるなどの優遇があります。
<受講対象>
16歳以上
(ただし、未成年の場合は親権者の同意書が必要)
JUIDA認定スクール修了者 (3ヶ月以内)
JUIDAの個人会員であること (正会員・準会員)
<講習内容>
学科
①UAS概論(歴史・機種・原理、他)
②法律・ルール
③自然科学(気象・電波)
④技術(構造・制御、他)
⑤運用(安全・禁止、他)
実技
①点検
②手動操縦
③自動航行
<試験内容>
座学と実技で、詳細は不明。
<費用>
・受講料:20~40万円程度。
・証明書発行に関わる費用:2万円
・更新料(2年ごと):7000円
・年会費:5000円
<公式HP>
この資格の他に、インストラクター資格も用意されています。
ドローン検定(ドローン検定協会株式会社)
こちらは検定資格になっており、学科のみで資格を取得することができます。4級から1級までの級数が用意されています。ドローンを操縦する必要はないが、ドローンに関わる場合にドローンの専門的な知識を身に付けることができるため、有効だとされています。資格取得に操縦技術が関係しないので、比較的取りやすいですね。
<受講対象>
級によって異なります。
1級:ドローン検定2級取得者
2級:ドローン検定3級取得者
3級:要件なし
4級:要件なし
<試験内容>
マークシート方式
4つの選択肢から1つ選ぶ形式で、全50問。2点配点となっており、80点以上の得点で合格となります。
出題範囲は、
・ドローンに関する用語や構造などの基礎知識
・飛行に関する特性
・電気電子工学
・航空力学
・気象学
・関連法規
などとなっており、級によって出題範囲と難易度が変わっていきます。
<費用>
級のよって異なります。
1級:18300円
2級:12200円
3級:5600円
4級:3000円
<公式HP>
3級や4級は誰でも受けることができるので、ドローンに関する知識についての腕試しとして気軽に受けてみてはいかがでしょうか?
意外と専門性が高い!
各資格の講習内容や試験内容を見るとお気づきだと思いますが、ドローンを仕事で扱おうとすると必要な知識って結構幅広いんですよね。数学的な分野から、気象学まできっとこれまで触れて来なかったような分野も含まれているのではないでしょうか?ドローンを通して新しい学問と触れ合っていくのも一つの楽しみになるかもしれないですね。
こうした資格が充実する中で、民間のドローンスクールも続々と立ち上がってきています。こうした資格があるか・ないかを受講の判断基準にするのもおススメです。
ドローンの資格は将来性が高い!
ドローンはこれからどんどん需要が高まり、活躍の場が広がっていくと予想されます。今のうちにその知識と技術を身に付けることで、様々な分野で仕事をすることができるでしょう。20年後の未来には、測量士の仕事が無くなってしまう!?なんて話もありましたが、ドローンを扱う資格を合わせて取得することで、この先の発展した測量分野でも活躍できること間違いなしです。また、建築業界では他にもドローンが様々な場面で活用されています。ドローンの操縦ができれば、転職などにも有利になってくるでしょうね!