クレーン・デリックの違いとそれらに関する資格の種類は?

街中の工事現場でよく目にするクレーン。そんなクレーンの違いとそれらの運転に関する資格をまとめて区別してみよう。

  • クレーンについて

クレーンを法律で定義する場合、以下の二つの条件を満たしている必要がある。

・荷(0.5t以上のもの)を、動力(人力は含まない)を使って吊り上げるもの。

・吊り上げた荷を水平に運搬することを目的とする機械装置(人力によるものを含む)。

普段工事現場で目にするクレーンだけではなさそうだ。埠頭にある通称“海のキリン”などもクレーンのうちの一つということだ。

クレーンには様々な種類がある。その一部を下の表にまとめてみた。

トラッククレーン トラックに搭載されたクレーン。
ケーブルクレーン 荷物の長距離移動を可能にするためケーブルカーのようになっているもの。
天井クレーン 工場の天井に取り付けられたレール上を行き来するもの。
アンローダクレーン 停泊中の船舶からコンテナを直接運び出せるようになっているもの

このようにたくさんの種類があることがわかるが、この中でも特に資格が必要なものについてその取得方法と共にみてみる。

  • クレーン関連の作業者と必要資格
移動式クレーン運転者 運転資格は移動式クレーン運転士免許、もしくは特別教育/技能講習修了者
クレーン・デリック運転者 5t以上のクレーンを運転するための資格はクレーン・デリック運転士免許。

それ未満の重量の場合は特別教育/技能講習修了者

玉掛け作業者 クレーンのフックに荷物をつるすための資格。

特別教育/技能講習修了者

  • クレーン・デリックの運転

【クレーンとデリックの違い】

 クレーン・デリックとは、クレーンとデリックのことを指す。クレーンは最初に述べたように動力で荷物を吊り上げて水平移動させることの出来るものを言う。一方デリックは、動力によって荷を吊り上げることを目的とした装置である。

【クレーン・デリック免許の種類】

資格 内容
クレーン・デリック運転士免許 つり上げ荷重が5t以上のすべてのクレーン・デリックの運転
クレーン・デリック運転士免許

(クレーン限定)

つり上げ荷重が5t以上のすべてのクレーンの運転
クレーン・デリック運転士免許

(床上運転式クレーン限定)

つり上げ荷重5トン以上の床上運転式クレーンを運転することができる。5トン未満のクレーンも運転できる。
  • 移動式クレーンの運転

【移動式クレーンとは】

 クレーンの定義を満たすもののうち、不特定の場所へ移動して作業ができるもの。移動距離にかかわらず、任意の場所への移動が可能であればその要件を満たす。

【移動式クレーンの資格の種類】

資格 内容
移動式クレーン運転士免許 つり上げ荷重が5t以上の移動式クレーンの運転
小型移動式クレーン運転技能講習 つり上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンの運転
特別教育 つり上げ荷重が1t未満の移動式クレーンの運転

【移動式クレーン運転実技教習科目】

移動式クレーンの基本運転 4時間
移動式クレーンの応用 4時間
移動式クレーンの合図の基本作業 1時間

【移動式クレーン運転免許 試験科目】

 学科

移動式クレーンに関する知識

原動機及び電気に関する知識

移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識

関係法令

 実技

動式クレーンの運転

移動式クレーンの運転のための合図

  • 建設用リフトの運転

【建設用リフトとは】

 荷のみを上下に運搬することを目的としたエレベーターのような機械。ボタン操作のみなので運転は非常に簡単。

【建設用リフトの資格の種類】

 建設用リフトは特別教育の受講により運転資格を得ることができる。

【建設用リフト特別教育講習内容】

 講習内容 時間
建設用リフトに関する知識 2時間
建設用リフトの運転のために必要な電気に関する知識 2時間
関係法令 1時間
実技教育(各事業所にて行う) 4時間

計 学科1日

修了証は即日交付される

【建設用リフト特別教育講習費用】

 10,000円程度

  • 玉掛け作業者

【玉掛け作業者とは】

 クレーンなどに荷を掛けはずしする作業者のこと。クレーンの作業では運転席と玉掛け作業の場所が離れているためにそれぞれ別の作業者が行う必要があり免許も独自に存在している。

【技能講習科目】

 学科

クレーン等に関する知識

クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識

クレーン等の玉掛の方法

関係法令

 実技

クレーン等の玉掛

クレーン等の運転のための合図

計19時間

【特別教育講習科目】

 学科

クレーン等に関する知識(1時間)

クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識(1時間)

クレーン等の玉掛の方法(2時間)

関係法令(1時間)

 実技

クレーン等の玉掛(3時間)

クレーン等の運転のための合図(1時間)

計9時間

  • まとめ

 クレーン・デリックの操縦・運転は積み荷の重量や装置の種類により資格が細分化されている。そのため、どの資格を取得すべきなのかをしっかりと把握し選択する必要がありそうだ。安全で円滑な作業をする上で資格の取得は欠かせないだろう。また、受講の際には国からの助成金を受け取ることができるものもあるのでそのような制度を活用するとよいだろう。

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