ガス溶接作業には特別な資格が必要!ガス溶接技能講習についてご紹介します。

前回、プラズマ切断について詳しく触れ、アーク溶接等の業務に係る特別教育のご紹介をしました。今回は、ガス溶接・溶断について詳しくご紹介するとともに、ガス溶接に関わる特別な資格についても触れていきます。

 

ガス溶接とは

前回のプラズマ切断の場合、電気エネルギーを用いる話をしました。今回のガス溶接は、アセチレンや水素、LPGなどの可燃性ガスの燃焼熱を利用して、金属を加熱して溶接する方法です。基本的には、金属の接合部分の隙間に、高温で溶かした別の金属を流し込むという形になります。想像しやすいのは、はんだごてでしょうか。はんだごての場合は電気のよる熱で金属を溶かしますが、これをガスの燃焼熱に置き換えたものと考えると簡単です。一方で、ガス切断の場合には金属の酸化反応を利用し、高い温度で酸化し酸化物となった部分をガスで吹き飛ばすことで、金属を切断することができます。こうした酸化反応の利用によって、酸化が起こりにくい金属を切断するのは難しいということは前回も触れました。

 

ガス溶接の特徴

ガス溶接は、ガスの量を制御することが比較的簡単なため、加熱具合を調整しやすくなっています。アーク溶接は動画で紹介した通り火花が散っていましたが、ガス溶接の場合あそこまでの火花はでません。アーク溶接よりも接合に時間はかかりますが、火花が出ない分接合部分が見やすいため、状態を確認しながら作業を進めることができるというメリットがあります。また、高温の炎を扱うことができるため板のひずみが少なく済むという利点があります。どれくらい高温かというと、約3300℃です。ただ、ガスを利用するので非常に爆発性が高く、ガス漏れには十分気を付けなければなりません。

 

https://youtu.be/IsVhHAFVVMg

 

こちらの動画では、ガス切断を使って漢字を切り抜いています。ご覧のように、プラズマ切断と比べて切断時間が長いことがわかるでしょうか。これが先に述べた通り、ガス溶接・溶断の一つの特徴となります。それにしても、下書きがない状態でこのように文字を抜き切る技術はすごいですね。

 

ガス溶接の技術が生かせる場面

前回も触れましたが、鋼構造物製造業界ではガス溶接の技術も活躍します。また、工事現場や建設現場では管の溶接が行われますし、空調設備や水処理設備、衛生設備などの設備関連の業務でも溶接を利用する場合があります。後ほど詳しく触れますが、ガス溶接には特別な資格が必要です。しかしこの資格は、取得自体はそこまで難しくありませんし、18歳以上であれば誰でも取得できる資格となっています。このため、経験がなくても資格をしっかり持っていればすぐに溶接工としての業務に従事できることになります。また、こうした溶接技術を必要とする会社では、資格支援制度などを利用して資格取得を目指せる場合があります。

 

ガス溶接作業中の事故

自動車整備工場内で、ガス溶接作業に従事していた際、アセチレンホースから火が出るという事故が実際にありました。これに対して、何らかの処置を施そうとした作業員は、アセチレン容器の安全弁から噴き出した炎によって、顔面や気道に熱傷を負っています。この事故の場合、発火の原因はホースの劣化や破損、あるいは溶断中の火花による破損ではないかと考えられます。このようなアセチレンガス溶断による火災や爆発事故は、頻繁に起きています。こうした事故を防ぐためには、使用する機器の安全性の確認と保護具などの装着、周りの環境への留意などが必要となります。このため、作業者には専門的な知識が求められますから、技能講習の受講が義務付けられています。

 

ガス溶接技能講習の内容

 

<学科>

ガス溶接等の業務のため使用する設備の構造及び取扱の方法に関する知識(4時間)

ガス溶接等の業務のため使用する可燃性ガス及び酸素に関する知識(3時間)

関係法令(1時間)

 

<実技>

ガス溶接等の業務のため使用する設備の取扱い(5時間)

 

講習自体は学科8時間、実技5時間の計13時間で終了しますが、技能講習の場合は別途修了試験が課されます。この試験に合格して、ガス溶接の資格を取得することができます。費用は、12000~18000円程度となっています。

 

まとめ

今回は、溶接の中でもガス溶接について詳しくご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。アーク溶接等の業務に係る特別教育やガス溶接技能講習は溶接業務に就くための第一歩となる資格です。作業には大きな危険も伴うことから、しっかり受講して専門的な知識と技術を深めていってください。また、この一方を踏み出して現場で活躍し、経験を積むと他の溶接に関する民間資格などを満たすことにつながります。溶接に関する資格は、他にも様々あり、そのほとんどがある程度の溶接経験を要件としています。将来的に溶接工として活躍していきたいとお考えの人は、是非溶接に関する資格について詳しく調べ、目標にしていってください!

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