エックス線作業者ってなに? 医療現場以外でも活躍するエックス線に関わる特別な資格についてご紹介します。

エックス線とは

エックス線については、聞いたことがある人がほとんどだと思いますが、そもそもエックス線ってなんなのか、というところを今一度しっかり確認しておくところから始めていこうと思います。

エックス線とは、いわゆる電磁波の一種で、高速で動く電子が何らかの障害に進行を遮断された時に発する短い波長のことを指します。物質を透過する力を強く持ち写真乾板に写るという特徴を持ちます。これを発見したのがレントゲンという人で、医療現場で活躍するレントゲンという機械の名前にも由来しています。レントゲンなら誰もが受けたことがあると思いますが、身体の中が透過され写真に写るようになっていますよね。あれは、エックス線の力を利用したものなのです。日常の中ではこのように、医療現場で使われることしかないように思いますが、実は違います。透過できるのは人体だけではありません。今回は医療現場以外で使われるエックス線について、詳しくご説明していきます。

 

医療現場以外で使われるエックス線って何?

さて、医療現場以外ではどのようにエックス線が使われているのでしょうか。例えば、「物」に対してエックス線を利用して中身を検査する場合です。簡単なのは飛行場での手荷物検査などですね。カバンなどを開けることなく、中身を透過して検査するために使われていますね。同じ原理です。これが、通常なら中身が見えない物の検査に使われる場合があります。こうした技術は工業現場でも広く用いられています。例えば、銅管の厚さを検査したり工業製品の中を検査したりするのです。このように、中身を見たり、厚さや量を計ったりする業務にエックス線は利用されています。

こちらの動画は、実際に現場で使われるエックス線検査機です。お暇があればぜひご覧になってみてください。

 

エックス線は危険?

エックス線は危ない!ということについて耳にしたことがありますか?実は、エックス線は一定量を浴びると体に害を及ぼす可能性があります。エックス線とは、放射線の一種に当たります。放射線についてはまた別の機械に詳しく触れますが、放射線に関しては厳密に言えば放射能とは異なります。言葉のちがいによるものです。ただ、体に害を及ぼす可能性があるという点ではあまり違いはありません。これについて詳しく説明していきます。

エックス線を含む放射線を浴びることを「被ばく」といいます。エックス線を一定量被ばくすると、自分自身の体に影響が出る可能性と、被ばくしたあとに誕生した子孫の体に影響が出る可能性があります。全身か、あるいは体の一部が被ばくしたかによって現れる症状は異なる場合がありますが、例えば脱毛や皮膚の紅斑など目に見えるものから、白血球の減少や不妊症状など目に見えないまであります。これを原因として、白内障や白血病、がんなどの病気を発症するリスクが非常に高まります。また、遺伝的影響によって、子孫にも骨の異常や代謝の異常などが現れる場合があり、その影響はとても深刻なものになります。

実際に、エックス線装置を作る工場で、検査員が被ばくした事故がありました。この事故によって、検査員は放射線皮膚障害を負ってしまいました。こういった事故を防ぐためにも、エックス線を扱う業務に就く場合は特別な資格が必要になります。

 

エックス線作業者になるために必要な資格

既に説明した通り、エックス線やガンマ線を使う非破壊検査等の業務に従事する場合は「透過写真撮影特別教育」が必要になります。例えば、発電所や鉄骨製造業務、ガスや水道の建設、飛行場、ガスタンクやプラントなどの保守点検業務などにこの資格が必要となる場合が多いです。また、自動車の製造や航空機の製造など、製造業では特に透過写真撮影業務を担う場合があります。内容を見ていきましょう。

 

<学科>

・透過写真の撮影の作業の方法(1.5時間)

・エックス線装置又はガンマ線照射装置の構造及び取扱いの方法(3時間)

・電離放射線の生体に与える影響(0.5時間)

・関係法令(1時間)

 

実技は特に設定がなく、学科6時間の受講で透過写真撮影業務に従事する資格を得ることができます。費用は25000円程度となっています。

 

まとめ

今回は、エックス線にしぼってエックス線についての基本的な知識と、「透過写真撮影業務」に関する資格についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。放射線についても触れましたが、放射線に関わる仕事は全て身に危険が伴います。このため、専門的な知識と技術を身に付けることが求められますし、自分を守ることや自分の家族を守ることにつながります。将来、製造業やプラントなどの保守点検業務に関わる仕事に就く場合は、こういった資格が必要になることもありますので覚えておくと役に立つでしょう。放射線に関わる別の業務や資格についても今度機会を設けて詳しくご説明していきたいと考えています。

 

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