アーク溶接と特別教育

溶接の種類

溶接には種類があることをご存知でしょうか?大まかに3つの種類に分類されるので、ご紹介しておきましょう。

 

① 融接

接合させる部分に熱を加えることで溶かして結合させます。アーク溶接もこの一種です、後ほど詳しく触れていきます。他には電子ビーム溶接・レーザー溶接があります。

 

② 圧接

加熱と圧力によって接合させる部分を結合させる方法です。ガス圧接や摩擦圧接、爆発圧接という方法があります。

 

③ ろう接

接合部分を溶かさずに、別の材質を溶かして隙間を埋め固めることで接合する方法です。よく知られている方法で、はんだ付けという方法がありますね。他にろうを用いたろう付けというものがあります。

 

 

アーク溶接ってなに?

アーク溶接というのは溶接の一種で、アーク放電という空気中の放電現象を利用して同じ種類の金属同士をつなぎ合わせる溶接方法です。アーク溶接の際には、火花が発生する原理を使ってこの火花の発生を持続させることで、5000度以上の高温を保つことができます。こうして、様々な金属を接合させることができるのです。こうした方法で自動車や鉄道、建設機械などあらゆる金属製品の接合に使われています。アーク溶接は、産業用ロボットを利用することもありますが、人の手によって行われることも多いです。最近の溶接技術の中では主流とされる方法となっています。アーク溶接は、強烈な紫外線を発生します。その強さは、50㎝程度離れた皮膚に数秒間アーク光を当てただけで炎症を起こすほど強いとされています。このため、長時間アーク光に曝されるとやけどやシミだけでなく、皮膚がんに至る場合もあります。このため、作業に従事する際には十分な知識と装備が必要になります。

 

アーク溶接の種類

アーク溶接にも様々な種類があります。ここでは、消耗式・非消耗式という大まかな分類を紹介しておきましょう。

 

消耗式…接合する際に、溶接棒などの電極材料が消費されていく方式。母材(溶接したいもの)と同じ材質の金属を用いて接合する。被覆アーク溶接(作業の全てが手作業で行われる溶接方法)・炭酸ガスアーク溶接・マグ溶接・ミグ溶接などがこれに分類される。

 

非消耗式…接合する際に、溶接棒などと電極部分が異なり、溶接棒が消費されない方式。溶接棒自体は消耗されないが、代わりに溶加材(棒やワイヤーなど)が必要になる。ティグ溶接・プラズマ溶接などがこれに分類される。

 

アーク溶接の従事者資格

例によって、労働安全衛生法の規定により事業主は作業従事者にアーク溶接作業者の特別教育を受けさせる義務があります。アーク溶接機の点検や整備を怠れば、感電災害や爆発事故・火災等の大きな災害に発展する恐れがあります。こうした災害の防止のために、アーク溶接に従事する者には適切な点検方法や整備の方法など、しっかりと作業方法を学ぶ必要があるのです。作業者は、この特別教育を受けなければ作業に従事することができません。

 

アーク溶接等の業務に係る特別教育

アーク溶接に関する特別教育では、学科と共に実技の講習を受ける必要があります。内訳は、

 

<学科>

・アーク溶接に関する知識(1時間)

・アーク溶接装置に関する基礎知識(3時間)

・アーク溶接等の作業方法に関する基礎知識(6時間)

・関係法令(1時間)

 

<実技>

・アーク溶接装置の取扱い及びアーク溶接等の作業の方法(10時間)

 

合計、21時間となっています。開催元によっては、学科のみの実施で実技は各事業者にて行う場合があります。学科のみの受講の場合は1日半、実技を共に受講する場合は3日程度の実施期間になります。アーク溶接の場合は専門的な知識よりも、技術的な部分がかなり重要になりますので、受講後には簡単な実技試験が設けられている場合もあります。

先程、アーク溶接には種類があるという話をしましたが、この特別教育を受けることによってアーク溶接に関する全ての作業に従事することができるようになります。

受講料は、実施団体によって異なりますが、11000~30000程度となっています。学科のみの場合は割合安く済むようになっています。合格率は90%以上とされているので、めったなことがなければスムーズに資格を取得できるでしょう。

 

アーク溶接の活躍の場所

アーク溶接の作業に従事できれば、様々な場所で活躍することが可能になります。また、一度取得してしまえば生涯役に立つ作業資格でもあります。

 

・自動車生産工場や修理工場

・造船工場

・建設業

・鉄工所

・板金工場

・加工業

 

アーク溶接の技能があれば、様々な場所で活躍することができることがわかりますね。比較的負担する費用も高くないですし、満18歳以上であれば、誰にでも特別教育を受ける資格があるので、こうした方面で就職を考えている人は受講しておいてもいいかもしれないですね。

 

今回は、アーク溶接に限った特別教育についてご紹介しましたが、溶接に関しては他にもガス溶接に関する特別教育があります。機会があればこちらについても触れたいですね。

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