アスベストって?アスベスト規制と除去の資格とは?

アスベストって何?

アスベストというワードは聞いたことはありますか?石綿と表記され、「いしわた」「せきめん」と呼ばれる時もありますが、これらは同じものを指しています。アスベストとは、天然の酸塩鉱物のことで、繊維状の物質です。この繊維がとても細く軽いため、空気中にアスベストが飛散して人間の体内に吸入されることがあります。アスベストは熱に強いという性質を持っているため、火事などを防ぐ目的でこれまでたくさんの建築物の材料に使われてきました。天井や壁の材料に混ぜたり、ビルの鉄組みに巻き付けたりしていたのです。ところが、古くなった建築物を壊したり作り直す際に飛散したアスベストが人体に悪影響を及ぼすということがわかってきたのです。

 

アスベストによる健康被害

アスベストを吸入すると、主に肺などに影響があり、長い年月をかけてがんなどを引き起こす原因となります。また、肺線維症や悪性中皮腫などの原因にもなるということが知られています。これらの病気は潜伏期間が長く、発病するまでに何十年と言う期間があります。そのため、アスベストが原因であることは最近になってわかってきたのです。ただし、短期間にアスベストを吸入したという程度では病気になる可能性は低いとされています。長い期間現場でアスベストを扱っていたり、アスベストを利用した学校や会社で過ごしていたという状況があれば病気を引き起こす可能性があります。

 

アスベスト問題はいつわかったの?

実は1938年ごろには既に、ドイツの新聞でアスベストが肺がんを引き起こす可能性があるということが指摘されていました。これに対してドイツはすぐに対応したのですが、この後第二次世界大戦が起こりその間はこれらの問題がスルーされていたのです。日本では、戦後しばらくしてから段階的にアスベストに対する制限が行われるようになりました。アメリカのアスベストメーカーがその責任を問われ始めたからです。これにともなって、1975年に吹き付けアスベストの使用が禁止され、1985年には石綿セメント管の製造が終了しました。その後も段階的に対策が行われ、2005年に関係労働者の健康被害を防止するための石綿障害予防規則が施行されました。実は2005年は、アスベストを製造していた労働者やその家族がたくさん亡くなっていたことが明るみになったのです。更に、直接アスベストを製造していた人だけではなくその工場がある周辺の住民にも健康被害が生じていることがわかり、大変大きな問題となりました。こうした健康被害者を救済するために、2006年には石綿による健康被害の救済に関する法律が施行されています。しかしこれは、生前にアスベストによる健康被害の認定がされていなければ救済の支給がされないということもあり、全ての被害者が救済されるものでないことが問題とされています。

 

アスベスト除去について

現在では、アスベストに関して「重量の0.1%超えて含有するすべての物の製造・輸入・譲渡・提供・使用」が禁止されています。これは、労働安全衛生法やそれに伴う施行令に基づいています。2006年9月1日にこれらが施行されて以後は原則として、アスベストは健康被害ができるようなレベルで使用されていることはありません。しかし、ここからが問題ですが2006年9月1日以前に使用されて建築されたものなどについてはそのまま残っている状況です。東日本大震災でも、倒壊した建物やガレキの中からアスベストの飛散が確認されるなど、まだまだ身近にそれは存在しています。この時、ガレキを撤去する際には防護マスクを着用するよう呼びかけられました。こうした自然災害などによって、予期せずアスベストの危険にさらされることは誰にでも起こります。アスベストの粉じんを吸入しないように、こうした場所では防じん対策に適したマスクを着用するということを覚えておきましょう。また、アスベストが使われていることが判明した公共建造物(学校や病院など)は除去作業を進めていますが、解体作業者の健康被害については安全性について議論されることもしばしばあります。建物の解体にはアスベストの飛散が伴うため懸念が持たれますが、一方で無害化技術も開発され実用化されています。

 

アスベスト除去の資格とは!

ここまででアスベストの危険性について紹介したため、これらの除去に従事するには心の準備も必要かと思います。人々の健康を守るため、また作業する本人の命を守るために作業従事者は「石綿取り扱い作業従事者特別教育」を修了する必要があります。

 

<講習内容>

・石綿の有害性(0.5時間)

・石綿等の使用状況(1時間)

・石綿などの粉じんの発散を抑制するための措置(1時間)

・保護具の使用方法(1時間)

・その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項(1時間)

 

講習内容は以上の通りで、合計で4.5時間となっています。費用は9000~10000円程度で受講することができます。受講資格は誰にでもありますので、日頃作業に従事しない人でも申し込みをすれば専門知識などを学ぶことができます。

アスベストの除去に関しては自身の健康を害する可能性が高いため、しっかりと専門知識や技術を身に付ける必要があります。また、作業従事者については厚生労働省によって定期健康診断が行われていますので、こうした制度をしっかり利用して自身の健康を守っていく必要があります。

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