【最新の建築】自己修復型コンクリートがすごい!注目の最新コンクリートとは
- 2020/7/1
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日々進化する、建築界の技術。コンクリートについては、こらちの記事でご紹介していましたが、その技術も進歩して、新しいコンクリートが生み出されています。今回は、「自己修復型コンクリート」についてみなさんにご紹介していこうと思います。
自己修復型コンクリートって何?
目次
自己修復型コンクリートときくと、自分で再生するの?なんか生き物っぽい?という印象を受けるのはわたしだけでしょうか。
通常、コンクリートは強度が高く、建築物などに必ず用いられる素材ですが、年数の経過や環境によってひび割れが起こってくるという弱点があります。これは、人の手によってこれまで修復してきましたが、これまで建てた建物などで劣化が起こり続けると、修復をしてもキリがないですよね。人間というのはすごいもので、そうした部分に目を付けて
「コンクリートが勝手に修復してくれたらいいのになあ。」
と考えたのです。そして、それを実際に開発してしまいました。それが、自己修復型コンクリート(自己治癒コンクリート)なのです!
大きく分けて3種類の自己修復型コンクリート
自己修復型コンクリートというのは、自ら劣化を修復できる機構を備えたコンクリートですが、これは大きく分けて3つに分類することができます。
・自然治癒型
・自律治癒型
・自動修復型
自然治癒型は、未水和セメントを利用することで、水分によってひび割れを自然に治してしまうというものです。素材の特性を生かしたわけですね。続いて、自律治癒型というのはバクテリアや特殊混合材などを用いた特殊なコンクリートを利用することで、その特性がひび割れを修復してくれるものです。コンクリートそのものが、工夫されているということです。最後に自動修復型です。これは、マイクロカプセルやモニタリング技術などを応用して、機械をコンクリートに埋め込むことによって、ひび割れ部分を修復するというものです。ロボット系の技術がここで存分に活用されているということになりますね。実際に、どんな風に修復されるのか気になるところですよね。それは次回に詳しくご紹介していくことにします。
この自己修復型コンクリートは実際にどのように使われているのでしょうか?今回は、そこに注目していきたいと思います。
自己修復型コンクリートの研究
実は、前回の記事でも登場した「會澤高圧コンクリート」という会社は、バイオ技術を応用した自己修復コンクリートの研究と導入にいち早く取り掛かっていました。ここで対象となったコンクリートはバクテリアを利用したものです。バクテリアがその特性で、乳酸カルシウムと酸素を取り込んで、それを分解します。その分解によって生成された炭酸カルシウムがひび割れを修復するというメカニズムになっています。そんなことで修復になるの?と思いますが、実はこの炭酸カルシウムによるひび割れの修復にはメリットがあります。炭酸カルシウムというのは、石灰石の主成分となりますが、この石灰石が生じることで水密性が上がり、隙間に埋まっていた空気が減り、凍害に強くなります。また、酸素を取り込んで分解してくれるので、鉄筋類の腐食を抑制することができるのです。ですから、自己修復してくれるだけでなく、劣化に対しても強くなるということなんですね。
環境にもやさしい自己修復型コンクリート
実は、コンクリートを原料とするセメントを生産する際には、多量の二酸化炭素を排出することがわかっています。その量は、1tのセメントに対して0.8tとなっています。日本でのセメント消費量は、1年間で4300万tと言われていますから、単純に計算しても約3400万tの二酸化炭素が、セメント生産の際に排出されてしまうのです。これは、全産業の放出量のうち5~7%にあたる排出量なので、環境に優しくないですね。とは言え、コンクリートを原料とするセメントが無ければ、わたしたちは日常生活を送ることができないのです。一体どうしたらいいのか、実はこの問題を解決する可能性を秘めているのが自己修復型コンクリートです。というか、こうした環境問題に立ち向かうために開発されたのが自己修復コンクリートであるということです。
自己修復型コンクリートの活用方法とは
全てのコンクリートをこのコンクリートに替えることを目指すと、まだ時間がかかりそうですが部分的に活用していくことも可能です。例えば、先程紹介したバイオ技術を用いたコンクリート材を、モルタルとして使います。既にひび割れを起こしている部分に充てていくわけですね。すると、その後の劣化についてはバクテリアの特性を生かして、自己修復させることが可能となります。
また、100%自己修復コンクリートを使わずとも、従来の生コンクリートに混ぜることによって、ひび割れの自己修復を促し、メンテナンス作業を低減させることができます。
まとめ
今回は、自己修復型コンクリートのさわりをザッとご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?様々な科学技術が応用されて、建築業界の技術も更新されていっていることがわかりますね。これから必要なのは、こうした建築業界に応用できる最新の技術を研究していく人材かもしれません。