【最新の建築】建築部材もリサイクルする時代へ!持続可能な建築とは
例えば、家を建てる時その工程は多岐にわたりますね。スタートは建築士による設計計画から、土地を調査したり構造計算をしたりと、前段階でやることはたくさんあります。さらに、工事ともなると家が完成するまでには、建築部材の生産から始まり最後は建築の際に出た廃棄物の処理までを含めて、一つの家が建ちます。さて、ここで考えなければならないのが、建築における環境への影響です。今回は、建築の際に考えなければならない環境問題と、環境にやさしい建築についてご紹介していこうと思います。
建築における環境への影響
これまで、人類史では産業革命以降様々な環境問題が起きていて、その都度対応をしてきました。自然環境だけでなく、人間の生命を脅かすような問題もたくさんありましたし、その影響を今も受けている人はいます。そんな中、様々な取り組みによって環境問題対策は取られていきています。そんな中、昨今最も問題となっているのが二酸化炭素の排出による環境汚染です。石油や石炭などの化石燃料を消費する際に排出される二酸化炭素は、地球温暖化を促進する温室効果ガスとされています。簡単に言うと、二酸化炭素が増えれば増えるほど、地球に熱がこもってしまうのですね。これによって、気候変動が起きたりそれによる生態系の変化が起きたりという環境破壊につながると言われています。一方で、地球温暖化はわたしたちが騒ぐほど進行が早くないという見方をする場合もあり、温暖化が原因で環境破壊が起きているという意見に対して真っ向から対立する意見もあります。そうは言っても、地球環境は唯一無二であり、これから先も大切にしていかなければならない環境であることは事実です。
さて、以前自己修復型コンクリートの記事の中でも触れましたが、コンクリートなどを製造する際には、大量の二酸化炭素が排出されます。このように、建築部材を生産する過程でたくさんの二酸化炭素を排出することは、環境問題の一部なのです。さらに、これまで建ててきた建築物は当然劣化していき、解体しなければならない時がきます。その時出た、瓦礫などのゴミの処理も問題の一つです。このように、建築業界はいつも環境問題と隣り合わせにあるのです。
環境へ配慮した建築の研究がされている
そうした環境問題を解消していくためにも、世界中で環境へ配慮した建築の研究が行われています。建築の中で環境へ配慮できる点は実は様々あります。例えば設計段階で、その建物で生活する上でエネルギー消費を抑えることができるような設計ができたら、魅力的だと思いませんか?こうした設計が主流になっていけば、全体的なエネルギー消費量の低減につながり、二酸化炭素の削減にもつながりますね。実際に、「環境配慮設計」として様々な形でエネルギー低減建築がされています。
さらに、解体時に出る建築物のゴミを再利用する技術もどんどん進化しています。これまではただ捨てるだけだったゴミを、再利用することで新しく生産する際のコストと消費エネルギー消費の低減に努めています。
このように、様々な方法で環境問題に立ち向かっている建築業界ですが、むしろこうした建築業界の取り組みは、環境問題を解消していくうえでかなり大きな取り組みであると言えるでしょう。こうして環境問題について向き合っていく中で、日本のある会社がリサイクルできる「建築工法」を開発しました。
リサイクルできる建築工法「エコ・ビルド」
株式会社東京オデッセイは、特に商業施設の設計やデザインに特化した会社です。この会社が開発したリサイクルできる建築工法とは、一体どのようなものなのでしょうか。
同社では、建物の基本となる鋼材に関して、パイプ式のトラス工法を利用しています。これによって、鋼材のサイズダウンをしながらもトラス工法による強固な構造を実現し、これまでの工法と比べて鋼材のスリム化と運搬や設置にかかるコストなどを削減することに成功しました。これを利用した「エコ・ビルド」という工法は、以下のポイントで環境問題対策が成されています。
・鋼材をスリム化することによって、使用量が従来工法の約1/3に抑えることができる。
・建物を解体した時に使われていた鋼材を、そのまま新しい建築に再利用できる。
・建物の軽量化によって、地盤への影響を低減することができる。
・工期が短くなるので、環境にかかる負荷を低減することができる。
こうした建築工法自体のスリム化は、付随する工程におけるエネルギー量や環境負荷の削減を実現することができる環境問題対策として、注目されています。ちなみに、同社では「エコ・ビルド」を活用して、新型コロナ病院を短期間で建設することも可能だと、自社のHPで紹介しています。
https://www.tokyo-odyssey.com/magazine/eco/4619/
まとめ
これからの時代、建築業界はデザイン性や機能性だけでのし上がっていくことは難しくなりました。どれだけ環境に配慮した技術を持っているか、そして開発に取り組んでいるかという点がそれぞれの企業の評価にもつながっていきます。こうした視点で、企業を比べていくのも面白いかもしれないですね。