【最新の建築】リニア中央新幹線を支えるシールドマシン
以前ご紹介しましたが、トンネルを掘削するためには人力で、大変な労力をかけていた時代がありました。今も同じように工事を行っているかといえば、答えはNOです。技術は進歩し、トンネル掘削も機械化・自動化されています。それでは、どのようにトンネルを掘削していくのか、シールドマシンについてご紹介していきます。
シールドマシンとは?
目次
シールドマシンとは、トンネルや地下鉄などをシールド工法と呼ばれる方法で工事する時に使う、大型の掘削機です。特に、都市部で地下鉄を作るときなどに活躍しています。以前、こちらの記事で開削工法について触れました。開削工法というのは、昔からトンネルを作る際に用いられる工法で、トンネルの上に穴をあけてそこから、側面を掘っていくという工法ですね。これに対して、シールド工法はわざわざトンネルの上を掘る必要がなくなるので、その分の費用や人的コストを削減することができます。
この動画であるように、シールド工法はモグラのように側面を掘り進めながら、コンクリート壁を作っていくことでトンネルを形成していくのです。コンクリートの壁は、セグメントと呼ばれる分割されたブロックを積み上げて構築していきますが、このセグメントは工場などで一度に大量生産できることが魅力となっています。実は日本のシールド工法は、海外でも用いられるほど安全性が高く水準が高いものとなっています。軟弱な地盤でも安全の工事を進められるという点が評価されている部分です。
リニア新幹線を支えるシールドマシン
こちらの動画では、国内最大級のシールドマシンが公開されています。これは、リニア中央新幹線が通るトンネルを掘削するために使われる予定です。直径14mということで、動画でも人と比べると大変大きいことがわかりますね。これを一度分解して、スタート地点である品川周辺へ運び込むことになります。
さて、皆さんはリニア新幹線のことについてどれくらい知っていますか?ここで少し触れておきましょう。
東京―大阪を67分で!リニア中央新幹線とは
現在、JR東海線によって進められているリニア中央新幹線は、最終的に東京と大阪間を結ぶ新しい交通となります。2027年には東京から名古屋までが開業予定となっており、平均時速392kmで走行する予定です。従来の新幹線は平均時速が218kmとなっており、これと比べるとリニア新幹線はものすごい速さだということがわかりますね。ちなみに、航空機は平均時速474kmだそうです。魅力的なのは、速さだけではなく、定員数もです。リニア新幹線は最大1000人も乗り込めるということで、これは航空機と比べると、2倍程度の定員となります。
このような未来的な乗り物が、実際に利用できるようになるのも、もうあと少しまで迫っています。そして、この未来を実現するために使われるのがトンネル掘削機「シールドマシン」なのです。
シールドマシンのオペレーター
さて、このシールドマシンは当然ですが、乗り込んで運転するような機械ではありません。管理室からの遠隔操作によってシールドマシンを動かしていきます。様々な数値を確認しながら工事を進めていきますが、この数値を正常か異常か見極めるための知識と経験、そして集中力を持っていることがカギとなります。ちなみに、このオペレーターになるための資格というのは現在ありません。基本的に、シールドマシンを所持している会社に就職することで、そこにいるシールド工と呼ばれる職人たちから技術を学んでいくこととなります。
シールド工とは
シールド工とは、文字通りトンネル工事の特にシールド工法に長けた職人のことを指します。現場では、シールドマシンの解体から現地での組み立て、シールドの操作、シールドマシンによる掘削によって出た土や岩などを片付けるなどの仕事を行なっていきます。一般的に、土木・建設業界の中で、シールド工は給料が高い方ですが、残業が多く割に合わないという話もよく聞きます。将来的にシールドマシンを使ってトンネル工事に携わりたいと思うなら、土木関係の高校や大学をしっかり出て、シールドマシンを所持しているゼネコンや建設会社に就職することで、シールド工になることができます。その後、トンネル工事の際に必要な資格を取っていく形になっていくでしょう。
シールド工事はいずれ完全自動化される?
今は、シールドマシンオペレーターによって制御されているシールドマシンですが、近い将来完全に自動化され、オペレーターさえいらなくなってしまう時代が来るかもしれません。そうなったら、トンネル工事は劇的に人的コストが削減され、シールド工の仕事も少なくなってしまうかもしれないですね。オペレーターによって管理されていた数値は、AIによって管理されるようになり自動で掘削を進めていきます。2020年3月には、戸田建設がAI Transformシールドというシステムを開発して、自動化へ進み始めています。
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2004/17/news055.html
このような技術の進歩は非常に楽しみであり、現場で仕事に携わっている人たちにとっては不安にもなるニュースかもしれないですね。