【コロナと建築】建築技術で感染症対策はできるの?

感染症対策

今年に入って世界的に流行している新型コロナウイルス。一時は、衰退の兆しも見えましたが、最近またぶり返してきていますね。日本だけでなく世界中で、新型コロナウイルスによる雇用不安が生じています。建築業界でも一時は、工事そのものが中断するなどの打撃を受ける現場が多くありましたし、部材や設備部品が入ってこないことから、工期の遅延も起きています。今後、世の中は一体どうなっていくのか不安視される中で、こうした危機を乗り越え未来へつないでいく動きも見られています。建設業界でできる感染症対策はあるのでしょうか?あるとしたら一体どのようなものなのでしょうか?今回は、コロナと建築をテーマにお伝えしていきます。

 

新型コロナウイルスの問題

まずは、昨今世間を賑わせている新型コロナウイルスについて、おさらいしていきましょう。

事の発端は去年の11月にさかのぼります。2019年11月22日に中国の武漢市で既に、原因不明のウイルス性肺炎が確認されています。この段階で、実は今確認されている新型コロナウイルスが中国大陸全土へ拡がっていたとされているのです。このウイルスによって、急性呼吸器疾患が引き起こされ、重症化すると死の危険も伴うということは既に周知の事実かと思います。

問題は、このウイルスによって多くの社会・経済活動がストップしてしまったことです。諸外国では、ロックダウンといった都市閉鎖を筆頭に、日本ではオリンピックの延期が決まり、様々な社会的・経済的活動が停滞しました。多くの労働者が解雇されたり、自宅でのリモートワークが推奨されたりと、労働環境にも大きな影響を与えています。社会全体の経済活動の落ち込みから、給料は下がりボーナスはカットされ、一人一人が新型コロナウイルスによる影響をモロに受けていると言っても過言ではありません。

しかしこのような状況でも、以前としてコロナウイルスが収束するような気配はなく、途方に暮れている方が大勢いるのではないでしょうか?今後、人々の社会生活はどのように変容し、落ち着いていくのかまだまだビジョンが持てずに不安な毎日を送るしかありません。

 

建設業界と新型コロナウイルス

以前も少し触れたのですが、建設業界では新型コロナウイルスによってどのような影響を受けたのでしょうか。

 

・公共工事の中止、延期。

・打ち合わせや会議の中止、延期。

・部材や設備関係の納期の遅延。

・工事の白紙化。

・受注件数の減少。

・雇用不安。

 

多くの工事がストップし、建設会社は大きな痛手を負いました。しかし、建設は生活を支える大きな役割を担うため、ずっとストップしているわけにもいかず、労働者はコロナの不安を抱えながらも早々に工事の再開に踏み切ったところも多いでしょう。他の業界だと、テレワーク・リモートワークといった自宅で仕事をするというスタイルが広がっていますが、建設業界はどうでしょうか?現場で働かなければならない人たちを除いて、実は建設業界でもこうしたテレワークが普及し始めています。例えば、施工管理職や設計業務に携わる労働者、或いは事務職などはテレワークが可能となり、実際に自宅で仕事をしている人もいます。テレワークを行うために、図面や工程表をクラウドで共有したりビデオ会議ツールを利用して会議をおこなったりと、他の業界と同じようにテレワーク化を積極的に行っている建設会社もあります。こうした、働き方の変化と共に、建築技術や設計を利用して感染症対策を行おうとする動きがあるのをご存じでしょうか?

 

建築技術と新型コロナウイルス対策

最近、北海道では病院での新型コロナウイルスクラスターが話題となっています。これによって、医療崩壊が秒読みとなってしまい、逼迫した状況にあるのは間違いありません。実は、新型コロナウイルス以前に、病院では感染症で亡くなる人が非常に多いということをご存じでしょうか?年間1万7千人以上の人が、院内感染が理由で亡くなっているのだそうです。もちろん、病院ですから感染症対策には万全を期しているのですが、それでも感染は起こり、多くの人が感染しているのです。今年は特に、こうした事情が明るみに出るようなこともあって、建設業界では院内感染を防ぐスタイルの病院設計というのに乗り出しています。

ここで活躍するのが、「設計」の分野です。感染症がヒトからヒトへ感染する場合、3種類の感染経路があるとされています。最近よく聞く「飛沫」、「接触」、「空気」です。わたしたちが日ごろ、感染症対策でマスクをするのは、飛沫による感染を少しでも防ぐためです。こうした、感染経路を遮断する形で病院を設計することで、ある程度の感染を防ぐことができるのではないかという試みが既に行われています。

 

キラメキテラスヘルスケアホスピタルの例

さて、こうした感染症対策を重視した病院の建築が既に始まっています。2021年2月に完成予定の鹿児島市「キラメキテラスヘルスケアホスピタル」という病院です。この病院は、三菱地所設計が設計し、病院部門では国内初の意匠登録を受けたことで話題となりました。この病院設計の特徴は、看護動線が「ゼロ」であるということ。どういうことかと言うと、医療スタッフが利用する看護動線と、患者や他の見舞客などが利用する一般動線をくっきり分けることができるのです。従来の病院だと、確かにスタッフと患者が同じ廊下を利用し、ごちゃごちゃしていますよね。こういった混合した動線によって、院内クラスターは発生していると考えられます。こうした動線の分離をもって、感染経路を遮断するというのが、設計による感染症対策となります。

 

大林組「感染症対応型施設」

大林組は、2008年の新型インフルエンザの流行を機に、短期間で設置ができる仮設緊急病棟「PEC original」と屋外での診察を想定した「PEC発熱外来」を開発していました。この施設は、スタッフと患者の動線をしっかり分けることで、感染経路を断つというもので、先ほどご紹介したキラメキテラスヘルスケアホスピタルもこの仕組みを採用しています。大林組は今回、新型コロナウイルスの流行を受けてこれらの施設を改良し、新たな感染症対応病棟を開発しました。

基本的に、緊急用の施設であるため、約500㎡のユニットを基本として、組み合わせることで様々な状況に対応できるようになっています。

こちらの動画は、その「パンデミック・エマージェンシー・センター(PEC)」の紹介動画です。短期間での設置が可能としていますが、その期間は種類にもよりますが2~8週間となっており、通常の建築よりも圧倒的に早いペースで設置が可能なことがわかります。

新型コロナウイルスによる医療崩壊は間近に迫っています。医療スタッフの健康を守りながら、多くの患者を受け入れるためにも、PECは近いうちに設置されるのではないでしょうか。

 

まとめ

こうした取り組みは、建設業だからできる感染症対策として大いに役に立つでしょう。設計もさることながら、設置に関わる施工管理者や従事者なども、こうした感染症対策において大いにその役割を果たすことができます。一見すると、全く関係のないような業界にも思えますが、実はこうして密接に関わっていると考えると、他人ごとではありませんね。今後、建築技術によってどのような感染症対策が考案されていくのか、楽しみでもあります。

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